長野県に住む宗像さんは、元妻とその代理人が面会交流等を妨害した行為につき、本人訴訟で損害賠償請求を2021年1月に提起し、昨年9月の一審判決(飯田地方裁判所、前澤利明裁判官)では宗像さんが一部勝訴した。その後双方が控訴し、2月16日に第一回控訴審が予定されている。
2021年1月15日、宗像充さんは、当時15歳の娘さんとの交流を妨害され囲い込まれたことを理由に精神的苦痛を被ったとして、273万円の慰謝料を求めて元妻と再婚相手、その代理人の森公任、森元みのりの両弁護士を、長野地方裁判所飯田支部に提訴した。
2022年9月30日に判決が出た一審では、面会交流途絶後に、宗像さんの元妻夫婦が一切連絡をしなくなったことに対して、元妻夫婦のみに月に1度の面会交流の取り決め1回につき1万円の損害が認められ、信義則上の説明義務違反として計18万円の損害額が課された。ところが、元妻夫婦の代理人で、代理行為の連絡業務に直接従事した森、森元らの違法行為は認定されないという矛盾した内容になっている。
訴状によれば、元妻とその再婚相手は、2007年に宗像さんから娘さんを引き取った後、宗像さんの娘さんを代諾養子縁組によって、元妻の再婚相手の養子(宗像さんの友人)にしていた。娘さんが中学校に入学後、元妻らから進学先を教えてもらえなくなり、面会交流も短時間になったという。
森氏らが代理人となった昨年7月から、面会交流中に元妻やその再婚相手が受渡場所に現れて、娘さんを連れ帰るようになり、その後9月からまったく会えなくなったという。その際、森氏らから、「〇〇さん(宗像さんの娘さんの名前)にはお会い頂けません」との通知が宗像さんに届けられていて、宗像さんは、元妻と再婚相手だけでなく、森氏らの行為も面会交流の妨害として訴えた。その後以後の連絡をしない通知が11月に宗像さんの元に届いた。
また、元妻の再婚相手や森氏らは、面会交流中に父親の宗像さんが娘さんについていった行為を「つきまとう」と記載した書面を裁判所に提出しており、宗像さんはそれについて名誉棄損として、一連の養育権侵害、囲い込みの一環として被害を主張している。
双方が控訴しているが、被告4人はその後も決定を無視し一切の説明義務違反を怠っているため、宗像さんの請求する損害額は2022年11月までで573万4700円に積み重なっている。
この裁判の被告側は、当初森法律事務所の佐多茜弁護士が判決日直前に辞任し、同じく森法律事務所の淺見宗市弁護士が新たに代理人となったが、1審の最終弁論ではこの弁護士も欠席して代理人を立てるという混乱ぶりを見せている。
宗像さんは、2019年11月22日に提訴された、共同親権集団訴訟の原告。
それに対して森、森元の2人は、2人が代理人として宗像さんの元妻夫婦申し立てた面会交流の取り消し裁判において、宗像さんの子ども宛の手紙を証拠として提出し、宗像さんが子どもの心情を尊重する姿勢がないこと、及び宗像さんが原告の共同親権訴訟に対して、面会交流が主義主張を伝える場に過ぎないと述べているが、面会交流は現在なされていない。ちなみに、宗像さんが宗像さんの娘の家で投函したチラシのタイトルは、「悪用される子どもの意思」となっている。
森、森元両弁護士は、家事事件について「国内トップレベル」をホームページでうたう森法律事務所に所属する。「弁護士が選ぶ弁護士ランキング」のそれぞれ2位、同1位であり、森公任弁護士は元東京家庭裁判所調停委員で、現在法務省人権擁護委員。森元みのり弁護士とともに、家事事件に関する著書多数。
控訴審第1回期日は、2月16日(木)13:30~東京高等裁判所812号法廷
(2023.1.13)