https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221202/k10013911221000.html
2022年12月2日 18時30分
離婚後の子どもの養育制度の見直しに向けて、国の法制審議会が、父と母双方を親権者とする「共同親権」を導入する案と、一方のみの「単独親権」を維持する案を併記する中間試案をまとめたことを受けて、法務省は今月6日から、国民に広く意見を募るパブリックコメントを始めます。
国の法制審議会の部会が先月まとめた中間試案では、第1に「子どもの最善の利益を考慮しなければならない」と明記しています。
そのうえで、子どもの身の回りの世話や財産管理をする権限であり、義務でもある「親権」の扱いについては、親が離婚したあと、
▽父母双方を親権者とする「共同親権」を導入する案と、
▽いずれか一方のみの、今の「単独親権」を維持する案が、併記されました。
そのうえで、「共同親権」を導入する場合は、
▽「共同親権」を原則とし、例外的に「単独親権」を認める案と、
▽「単独親権」を原則とし、例外的に「共同親権」を認める案
などが示されました。
一方、今回の試案では、配偶者からの暴力や親による虐待がある事案には、適切に対応できる仕組みを検討するとしています。
このほか、父母の協議が整わないまま離婚や別居状態になった場合に、養育費の不払いが想定されることなどから、一定額の養育費を支払う義務が発生する「法定養育費制度」を新設する案も明記されました。
法務省は今月6日から来年2月17日まで、国民に広く意見を募るパブリックコメントを行い、集まった意見を参考に、さらに法制審議会で答申に向けた議論が行われます。
離婚後 “子どもにとっての最善を” 中間試案
親が離婚したあと、子どもをどう育てていくのか。
法制審議会の部会では、これまで1年半以上かけて議論が行われ、中間試案をまとめました。
大前提となる考え方は、「子どもにとって最善の利益となる」ことです。
このため、
▽父と母には、子どもを養育する責務があり、その最善の利益を考えないといけないこと、
▽子どもが示した意見を、年齢や発達の程度に応じて考慮することなどが明記されました。
さらに、すべての項目について、今後、具体的な規律を決めるにあたっては、配偶者からの暴力や子どもへの虐待があるケースに、適切に対応できるようなものにするとしています。
そのうえで、具体的な論点については複数の考え方を示しました。
離婚後の「親権」については、
▽現在の法律を見直し、離婚後も父母双方が親権を持つ「共同親権」を導入する案と、
▽法律は変えずに、現在の「単独親権」を維持する案が、
併記されました。
「共同親権」を導入した場合の考え方としても、大きく3つの選択肢をあげています。
▽1. 父母の「共同親権」を原則として例外的に「単独親権」を認める案と、
▽2. 原則は父母どちらかの「単独親権」とし、一定の要件を満たす場合にかぎり双方を親権者とする案、
そして、
▽3. 原則を決めずに個別のケースに応じて、父母が話し合いなどで決めていくという案です。
いずれの場合も、「共同親権」「単独親権」のどちらにするかは、双方の話し合いで決め、決まらない場合は家庭裁判所が判断するとしています。
また、
▽別れて暮らす親子が定期的に会う「面会交流」や、
▽子どものための「養育費」についても、
法律を見直すかどうか、複数の案が示されました。
現在の法律では、協議離婚の場合、これらを事前に取り決めることとしていますが、義務とまではなっていません。
中間試案では、父親と母親の間で明確な取り決めがないことで、子どもに不利益にならないよう、
▽1. 法律を見直し、原則として、事前に取り決めをしなければ離婚できないようにする案と、
▽2. 法律は今のまま、取り決めを進めるための別の方法を検討する案の、
両方が示されました。
このほか、事前の協議が整わないまま離婚や別居状態になった場合に、養育費の不払いが想定されることなどから、
▽一定額の養育費を支払う義務が発生する「法定養育費制度」を新設する案も盛り込まれました。
法制審議会の部会は、パブリックコメントで寄せられた意見も参考に、具体的にどういう制度にしていくのか、引き続き検討していくことにしています。