娘への手術、面会禁止された父親の同意なしは違法 大津地裁判決

https://mainichi.jp/articles/20221116/k00/00m/040/364000c

毎日新聞2022/11/17 05:45(最終更新 11/17 05:45)English version487文字

大津地裁、大津家裁、大津簡裁が入る庁舎=戸上文恵撮影
大津地裁、大津家裁、大津簡裁が入る庁舎=戸上文恵撮影

 家裁に面会を禁止された3歳の娘が手術を受ける際に説明や同意がなかったとして、父親が滋賀医科大を相手取り、慰謝料190万円の支払いを求めた裁判で、大津地裁(瀬戸茂峰裁判官)は16日、手術前に父親への説明や同意を得なかったのは違法だとして同医大に5万円の支払いを命じた。

 判決によると、2019年7月、当時3歳だった娘は同医大付属病院で肺の動脈弁をバルーンで拡張する手術を受けた。父親は娘の誕生後間もなく別居状態となり、母親は手術前、病院に大津家裁が父親に娘との面会を禁じたと伝えていた。これを受け、病院は父親への説明・同意を経ずに手術した。その後、両親の離婚が成立して母親が親権を持ったが、父親は手術時には自分にも親権があったのに手術の説明がなく精神的苦痛を受けたなどとして提訴した。

 判決は、未成年者の手術は両親権者が共同で同意するのが原則だと指摘。家裁の決定は「父親の親権としての同意権を奪い母親に委ねたものではない」として、病院が父親への説明・同意を経ず手術したことは違法だと認定した。

 同医大は「判決文が届いていないため、コメントは差し控える」としている。【菅健吾】

2年前