独紙が問題視「日本の子どもが虐待から守られないのは時代遅れの家族法制のせいだ」

共同親権に転換しないので他の子どものための施策がなされない。

https://news.yahoo.co.jp/articles/69eb748f48b0294410a1962f41fb3c791aa21656

10/12(水) 18:30配信

クーリエ・ジャポン

G7の国でもっとも遅れた日本の家族法

独紙「南ドイツ新聞」が、日本の家族法の問題を指摘している。そこでは日本の子ども政策はあまりバランスが取れておらず、親の離婚に際しても、弱者である子どもが守られないことが問題視されている。

家族の問題への公的介入が非常に限られる日本では、家族内の紛争があっても公的機関はあまりかかわらない。離婚に裁判所が関与するケースはごくわずかで、当事者間の合意のみで成立する。養育費の支払いや離婚後の子どもへの関与については、原則として離婚する夫婦同士で取り決め、実行することが期待されている。

しかし、これは欧米から見ると驚くべきことだ。「G7の中でこれほどまでに家族法に後ろ向きな国は他にない」と記事中では述べられる。 欧米では離婚に際しても裁判所が関与し、離婚後の取り決めがなされる。そこで離婚給付や養育費も算定され、執行される。子どもにとって適切な養育環境があるかも公的機関が判断し、必要があれば子どもは保護されることになる。

一方、日本において離婚の9割を占める協議離婚では、子どもの養育や親権についても別れる親同士が決める。それで子どもが守られるかを公的機関は判断せず、離婚後の取り決めには法的義務も生じない。 養育費もきちんと払われないことが多い日本では、たいてい子どもが困窮する。子どもの親権を持った母親が精神的に不安定になり、子どもと心中したケースも例として取り上げられる。

子どもを守らない日本の制度

南ドイツ新聞は、そんな当事者任せの仕組みによって苦しい子ども時代を過ごしたモデルの田中れいか(26)に注目する。児童養護施設で育った彼女は、親元を離れて暮らす子どもたちへの理解や支援を深めるための活動に取り組んでいるのだ。

幼少の頃、田中の父親は彼女の母親に暴力を振るった。両親の口論や悲鳴、物が投げられる音を寝室から夜に耳にし、眠れない夜を田中は7歳まで強いられたそうだ。 しかしある日、限界を感じた母親は一人で家を出て行ってしまった。田中は、当時11歳の姉と当時10歳の兄とともに暴力的な父親の元に残された。その3人の子を父親がきちんと育てられるのか、疑問を持ちうるところだが、守ってくれる人はいなかったという。

そんな父親との暮らしでは、「私たちは怒りをぶつけられました」と田中は同紙に説明する。兄は箸をきちんと持っていないとして食事中に殴られ、姉と彼女は些細なことで家の外に追い出されたそうだ。 ある晩、耐えられなくなった姉が家を出るというので、田中もパジャマ姿で一緒に東京のアパートを抜け出した。そのまま二人は交番に駆け込み、そこで姉が事情を説明した。

すると彼女たちは親元には帰されず、児童相談所に送られたという。それから児童養護施設に移り、田中はそこで高校を卒業するまでの11年間を過ごすことになった。

子どもの声を受け止める

彼女がそんな道を辿らなくてはいけなかったのは、現在の日本の家族法が、子どもを充分保護しないためだと同記事は指摘している。田中も、日本の家族法制度は大人のことしか考えていないと言い、「子どもたちの意見を真摯に受け止めてほしいです」と同紙に述べている。

田中は幼少期の家庭の苦労についてほとんど話さない。一方、児童養護施設での学びについては頻繁に語り、その意義について著書や講演、ソーシャルメディアで訴えている。10代でモデル事務所にスカウトされた田中は、ミスユニバース2018茨城県大会準グランプリになったことから注目を浴びた。

彼女は、児童養護施設は窮乏に満ちた悲しい場所だと誤解されているものの、実際は多くの子どもが命を救われ、健やかな世界観を形成できる場だと言う。彼女自身、「多様な年代の子どもたちと一緒に育ち、さまざまな個性を受け入れることを学びました」と同紙に語っている。

離婚後の子どもの共同親権の欠如を指摘され、法務省は現在家族法の改正案を準備している。しかし、それが実現しても子どもの保護は充分ではなく、見かけのものに過ぎないと、同紙に対して専門家は指摘している。

COURRiER Japon

2年前