「子どもになぜ会えない」「離婚しても苦しみ続く」 共同親権導入すべき?

https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/223595

2022/10/10(最終更新: 2022/10/10)

 離婚後の子どもの親権は両方の親が持つべきか、どちらか一方だけにするべきか。現行では父母のどちらかが親権者となる「単独親権」だが、「共同親権」の導入を巡って賛否が分かれている。親権は、婚姻中と同じように両親が持つべきという意見がある一方、共同親権だとドメスティックバイオレンス(DV=配偶者暴力)や子どもの虐待のある場合に、リスクが続くという指摘もある。離婚問題のさなかにいる当事者と専門家に親権について聞いた。(衣川圭)

<当事者の声>

「連れ去り」を訴える男性

 子どもが「いーっ」として生え替わった歯を見せてくれた時、会えなかった2カ月間の成長と時間の重さを感じた。妻と離婚調停中の広島県西部の40代の自営業男性は子どもと会えたうれしさの半面、複雑な気持ちが込み上げた。「自分の子どもなのにどうしてこんなにも会えないのだろう」

 男性は共同親権の導入は当然と考えている。「単独親権の場合、養育実績が親権を得るのに有利になるから、自分が経験したような子どもの『連れ去り』が横行するんです」。妻側が家庭裁判所に出した書類には、男性を親失格と言わんばかりのうそが並ぶ。むしろいつも不機嫌で物を投げつけたのは妻の方なのに。月2回とされた子どもとの面会も流動的な状況だ。

 今の制度は、離婚する夫婦に無用な争いを強いているようにも思える。男性は「夫婦は別れても、子どもは両方の親の愛情を受ける方が健全に育ちます。子どもにとって何が幸せかを考えず、国が一方の親権を奪ってしまうのはおかしいと思いませんか」と問う。
 

暴言に悩み避難した女性

 「くず」「おまえは使えん」―。広島県東部の30代の会社員女性は夫の暴言に心がえぐられていった。夫の目覚まし時計のアラームをとめなくて怒鳴られたこともあった。夫が子どもにも声を荒らげるようになって、呼吸が乱れている自分に気付いた。ある日、警察を呼んで子どもと逃げた。

 離婚に向けた訴訟を準備している女性は「共同親権はあり得えません」と言う。自分のように暴力や暴言を受けて避難している人が、元のパートナーと子どもの養育や進路について心穏やかに話し合えるわけがないと思う。

 弁護士から、夫が親権を主張していると聞いてがくぜんとした。「夫もそうだが、自分が常に正しいと思っている人はいる。そういう人はDVをした自覚もないんです」。だから、共同親権になれば、精神的な苦しみを抱え続ける人が増えるのではと危惧する。

 子どもは今、街なかで夫に出会うのが怖くて学校にも通えていない。「子どもを守る最善策は何かと考えてほしい」と訴える。

2年前