https://note.com/20130919/n/n448c631b630a
2021年1月29日 07:58
法律時報の1月号と2月号に以下の特集があります。
ミクロ憲法学の可能性 離婚した父母と子どもとの法的関係 夫婦の別れは親子の別れなのか?
執筆されているのは関西大学の井上武史教授(憲法学者)。
離婚後の親子関係について現在の問題状況、離婚後単独親権の憲法上の問題、問題の所在、離婚によってなぜ親権が剥奪されるのか、離婚後はなぜ父母の一方しか親権者になれないのかーなぜ共同親権ではないのか?、面会交流の問題、面会交流の問題状況、面会交流の利権性、面会交流権の憲法上の位置づけ、欧州人権裁判所の考え方、祖父父母の面会交流権と問題が整理されていて、自身のこの問題への知識を一つ一つ確認して整理する事にも役立ちます。
1月号の結びには以下の文があり非常に共感しましたので一部引用させていただきます。
親子の法的関係については、その重要性が認識されつつも、これまで憲法学が手薄だったテーマである。とくに、離婚後の親子関係については、近時、国連子どもの権利委員会から勧告をはじめ、人権および人道の観点から問題視されているところであり、憲法学からの応答が求められていると感じる。
1月号の井上教授の問題の指摘を受けて、家族法・親権法の専門家である山口亮子教授が2月号でコメントをしています。この中の子の利益についてのコメントが非常に共感します。一部品用させていただきます。
子の利益について、わが国では心理学や社会学の観点からの実証的な研究がなく、またあったとしても、その実証的研究が客観的な正当性の根拠となり得るのかという疑問から、一律的に子の利益を定義づけることはできないと言う指摘がある。民法は、離婚後の面会交流や監護者指定の際には「子の利益を最も優先して」(民766条1項)とし、親権者変更においては「子の利益のため必要があると認めるときは」(民819条6項)として、子の利益をその判断基準の要素として規定していることから、子の利益は個別具体的に検討するものと位置付けられている。したがって、子の利益は個別的あものであることがまず前提とされなければならない。それにもかかわらず、現在、親権制度の検討が子の利益についての価値判断の議論にすり替わってしまっており、制度の議論を困難にしている。
この文章の後も非常に学びの多い文章が続きます。是非多くの方に読んでいただきたいです。山口亮子教授の結びの文章も非常に良いです。
ではなぜ、離婚後の共同親権化が進まないのであろうか。その理由の一つに、離婚後の親子を支援する社会的制度が整っておらず、現在の日本では共同親権行使の実現が不可能なことが挙げられている。ではなぜ国家は、法的にも社会的にも離婚後の家族に対し関心をもたないのであろうか。戦後、家族法が改正されてから、国と家族との関係はどのように変改し、形成されてきたのであろうか。また今後国家は家族とどのように向き合うべきであろうか。家族法も憲法との共同研究により発展させる時が来ていると思われる。
法律時報1月号2月号ともに、この問題を理解し整理するのに非常に役立ちました。最近子どもの権利条約に関する本も何冊か読んでいます。街宣による一般周知を行うにせよ、地元で陳情や請願を通すにせよ、議員さんに陳情するにせよ、現行法の問題を理解しわかりやすく伝える努力と工夫は必要があると感じています。
昨年街宣は2カ月で10回以上行いました、議員さんへの陳情も時間がある時に水面下で行っています(関係の名刺は今手元に60枚ほどあります)。感じたのは以前よりもこの問題を知っている人は増えましたが、でもまだまだ知らない方が多く、知っている方も理解は浅いと言う事。
一般の方への周知は先ず知ってもらう事が必要ですが、議員さんに動いていただこうと思えば深い理解と分かりやすい説明は大切です。そのためには自信が理解し問題を整理する必要があります。また時代は変化していますのでインプットとアウトプットを繰り返す事も大切と感じます。
時代の変化に併せて、目的と目標に併せた最善の手段を心掛けたいですね。