小林由比(2022年8月30日付 東京新聞朝刊)
離婚後共同親権の導入に慎重な議論を求める地方議員ら=29日、参院議員会館で
法制審議会で議論されている離婚後共同親権制度について、「ひとり親家庭支援のための地方議員ネットワーク」は29日、制度を導入した場合に起こり得る課題に対応する自治体の体制が不十分だなどとして、慎重な検討を求める提言書を法務省に提出した。
358団体・個人が賛同「拙速な導入は混乱を招く」
提言では、共同親権導入議論の前に、養育費の支払いを義務化する法改正や、離婚時に共同養育を望むケースへの支援体制を強化すべきだと指摘。ドメスティックバイオレンス(DV)や虐待の被害を受け、弱い立場に置かれている人たちの背景を考慮して慎重に検討すべきだと訴えている。
提出後の会見で、相模原市議の五十嵐千代氏は「DVを見抜くことが家庭裁判所でも難しい中、加害者の支配が続き深刻な事態を引き起こしかねない」と懸念を示した。ネット代表で千葉市議の田畑直子氏は「現状でも自治体や民間団体による離婚前後の当事者への支援は不十分。拙速な導入は混乱を招く」と話した。
提言には、DV被害者支援団体のほか、保育士や児童館職員など358の団体、個人が賛同。ネットはひとり親当事者の超党派女性議員らが2020年4月に結成し、現在16人で活動する。
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