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8/30(火) 23:30配信
All Nippon NewsNetwork(ANN)
両親が別れた後の子どもの親権について、30日に国の法制審議会が開かれましたが、議論はまとまりませんでした。 今回取材した男性と女性はそれぞれ、子どもの親権でずっと苦しんでいますが、その考え方は正反対です。
東京都内に住む男性。妻が2人の息子と家を出て、2年近く経ちます。ある日、帰宅すると、突然、家族が消えていたといいます。 現在は離婚が成立し、親権は元妻が持っています。男性は、子どもに会いたいと弁護士に相談を重ねましたが、元妻が望んでいないことなどから、その願いは叶っていません。
離婚後子どもに会えない父親:「“離婚したから親権を失う”親じゃないという扱いをされるのはおかしい。進学とか、一人暮らしを始めるとか、人生のターニングポイントに、親としてサポートしてあげられる状況にしてあげたい」 今回、焦点になっている親権とは、進学先や住む場所、医療の選択といった子どもにとって重要なことを決める親の権利と義務のこと。今の法律は、離婚したら両親の一方にしか親権が与えられない『単独親権』となっています。
しかし、単独親権は、法の下の平等を定めた憲法に反するとして、国を相手にした集団訴訟も起きています。そこで今回、離婚しても父と母がともに親権を持つ『共同親権』の導入が検討されています。 共同親権の推進派は、離婚後に問題となる、子どもと面会できないことや、養育費の不払いなどの解消にもつながるとしています。
しかし、話は単純ではありません。こちらの女性は共同親権に反対です。 夫のDVで別居した女性:「DVや虐待の継続につながるので、絶対に反対です」 度重なる夫の暴力に耐えきれず、当時3歳だった子どもを連れて家を出ました。女性は別居後も、夫の求めに応じて月に1度、子どもと会わせていましたが…。
夫のDVで別居した女性:「(夫が)『ママにだまされて、本当はパパは悪くないのに、ママのところに連れてこられた』と、子どもが不安になることを言う。『パパがそう言ってたけどそうなの?』と(子どもが)聞いてきたり。精神的にも不安定になる状況があった」 子どもの精神状態を心配して、今は夫と子どもの面会を取りやめました。
夫のDVで別居した女性:「子どもの重要事項を話し合えないたびに、裁判所に行かなければならないとなると、加害者はその都度、被害者を裁判所に引っ張り出すように、裁判や話し合いの場を設ける機会を狙ってくると思うので、被害の継続になる。共同親権はとても怖い」
ある調査によりますと、共同親権が導入されても選択しないと答えたひとり親は7割近くいたといいます。その背景として最も多かった回答は、配偶者からのDV被害だったといいます。
法務省の審議会は30日、単独親権と共同親権の両方を盛り込んだ試案を取りまとめる予定でしたが、直前になって見送りとなりました。共同親権の導入を求める自民党側から反対の声が上がったためでした。 共同養育支援議員連盟(超党派)自民・柴山昌彦衆院議員:「自民党が主張している『共同親権・共同監護』の方向が必ずしも明らかでない。非常に複雑で分かりにくい案になっていることが払拭できない。何らかの形で、法務省としてしっかり対応を求めたい」
30日の会議を終え、共同親権を推進する団体の代表は…。 『親子の面会交流を実現する全国ネットワーク』
武田典久代表:「一番無償に愛情を与えて、子どものことを考えてくれるのは、実のお父さんとお母さん。子どもの立場からは説明を一切受けず、片方の親との関係が全くなくなってしまう。そこを救う手立てにもなり得る」 一方、慎重な立場からは…。
『しんぐるまざあず・ふぉーらむ』赤石千衣子理事長:「(離婚して)全く連絡が取れていない人もいたし、かえってもめてしまうかもしれないとか、一緒に決めるのはとても難しいという人がほぼ9割。かなり反対というか、消極的意見をお伝えせざるを得ない」
テレビ朝日