離婚後共同親権、中間試案取りまとめ先送り 「分かりづらい」指摘

毎日新聞2022/8/30 20:58(最終更新 8/30 20:58)922文字
https://mainichi.jp/articles/20220830/k00/00m/040/241000c

 父母の離婚に伴う子の養育に関する法制度の見直しを議論している法制審議会(法相の諮問機関)の部会は30日、8月中に予定していた民法改正の中間試案の取りまとめを先送りすると決めた。離婚後の共同親権制度を導入するかどうかに関する選択肢が入り組んでおり、部会の内外から「分かりづらい」との指摘があったことを踏まえ、配慮した。

 部会は、養育費の未払い対策や子どもと離れて暮らす別居親と子の円滑な交流についても議論しているが、最大の焦点は離婚後の親権制度だ。現行民法は父母が離婚すると、どちらか一方が親権を持つ単独親権を定める。離婚件数が増加する中、別居親を中心に、離婚後の共同親権を求める意見が高まっている。

 ただ、共同親権の導入を求める人も考えに濃淡があり、離婚後も子の養育全般に関わる仕組みを望む別居親もいれば、子に会えれば養育は同居親に任せてもよいとする別居親もいる。逆に、家庭内暴力(DV)や児童虐待の被害者側からは、共同親権に反対する意見も出ている。

 部会はこうした多様な考えを試案に反映させ、国民から意見を募るパブリックコメントを実施して案の絞り込みを図る考えだった。

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 試案では「共同親権の導入」と「単独親権の維持」を併記した上で、共同親権を導入する場合は共同親権を原則とするか、例外とするかの両案を提示する予定だった。また、共同親権を選んだ父母の意見が対立して子の養育に関する決定ができなくなる場面も想定し、その際の調整方法を詳細に試案に落とし込む方針だった。

 この結果、共同親権に関する案は選択肢が細分化されることになり、26日にあった自民党法務部会では「分かりにくく、国民が意見を示しにくい」などとする指摘が出たという。

 法制審は法相の諮問に応じて専門家が議論する機関であるため、30日の部会では、一部の委員から「法制審は外部から独立して議論する場。(30日に)試案を取りまとめるべきだ」とする発言も出たという。一方で、「家族法制は国民への影響が大きい。さまざまな意見があるなら、反映させて良いものにしていくべきだ」「案を分かりやすくした方がパブリックコメントで的確な意見が集まる」との声もあり、議論続行が決まったという。【山本将克】

2年前