完全に法務省の手のひらの上で踊ってる新聞。
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202208/0015563733.shtml
離婚後も父母の双方が子どもの親権を持つ「共同親権」について、導入すべきかどうかを検討している法制審議会の部会が、制度見直し案のたたき台を示した。
現行の「単独親権」を維持する案と、共同親権を選択できる案を併記した。選択制の場合、単独と共同のどちらを原則とするかで案はさらに分かれる。意見の対立は根深く、8月末に示す中間試案で方向性を打ち出すのは難しい状況だ。
親権は、親が子どもに対して持つ権利や権限のように捉えられがちだが、本質はそうではない。未成年の子どもを守り、養うために親が果たすべき責任のことである。「子どものため」との原則に立ち、冷静かつ慎重に議論を進めねばならない。
近年、離婚件数は年間20万~22万件で推移している。未成年者の子どもがいる場合、約9割は母親が親権を持つとされる。親権を持たない親から「子どもと面会交流できない」などの声が強く上がるようになり、このたびの検討につながった。
親権がなくても法的親子関係に変わりはなく、親は養育費の支払い義務などを負う。離婚しても父母がともに子育てに関わることは重要だ。育児にもっと責任を持ちたいとの理由で共同親権を求める意見は、一定理解できる。
しかし、子どもの健全育成にとって常に有益とは限らない。
離婚の原因がドメスティックバイオレンス(DV)や児童虐待であれば、共同親権の導入で状況が悪化する恐れがある。日本は他の先進国と比べ、DVの被害者保護が不十分といわれるだけに、そうした懸念が高まるのは当然だろう。
親権には大きく分けて二つある。子どもと同居して身の回りの世話や教育をする「監護権」と、子どもの預貯金の管理や契約行為を代理する「財産管理権」だ。
共同親権の場合、一方の親が反対すれば、子どもの進路や住む場所、病気の治療といった重要な決定ができない事態も起こり得る。父母の関係が悪く、養育方針を巡って意見が対立するようなケースで最も苦しむのは子どもである。
海外に目を転じると、共同親権を認める国が多い。だが、家族観や親権の捉え方が異なる点には留意が必要だ。欧米では、子どもの安全を最優先に監護や面会交流の在り方を見直す動きが出ている。
親権制度に限らず、養育費の不払いを解消する方策や、安心して面会交流できる仕組みについて議論を深めてほしい。家庭裁判所の人員増も検討課題となる。何より、当事者の子どもの意見を丁寧にくみ取り、養育に反映させる制度が求められる。