【社説】離婚後の共同親権 制度設計、子を最優先に

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2022/7/22 07:00 (JST)7/22 07:32 (JST)updated

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 法相の諮問機関、法制審議会(法制審)の家庭法制部会が、親権制度の見直しについてたたき台を示した。離婚後も父母の双方が子を養育する親権を持つ「共同親権」を選択方式で導入する案と、現行の「単独親権」を維持する案を併記している。

 海外では離婚後の共同親権が主流だ。父母が共に子育てに責任を持てば経済的に安定するとの考えに基づく。ただドメスティックバオイレンス(DV)や児童虐待などの事情があった場合はかえって被害が継続、拡大しかねないとの懸念は根強い。

 見直しに当たり子の利益を最優先するべきなのは言うまでもない。そのために何ができるかという視点に立ち、共同親権の導入に向けた制度設計と課題の洗い出しを進めるべきだろう。

 親権は未成年の子について親が身の回りの世話や教育をする権利と義務で、住む場所の指定や財産の管理などを担う。今の民法は親権について「婚姻中は父母が共同して行う」と定め、離婚する場合はどちらかを親権者と決めなければならない。

 人口動態統計によると2020年の離婚件数は約19万組。このうち11万組には未成年の子がいた。近年は9割程度は母親が親権を持つとされる。

 単独親権は進学先などの決定がしやすい半面、親権を持てなかった親は子と会うことが難しくなり、養育費の不払いも目立つ。一方で女性の社会進出や父親の育児関与の高まりから養育の在り方は多様化している。

 法務省の調査によると、主要24カ国で日本のような単独親権のみはインドとトルコだけだ。共同親権の運用は範囲を教育などに限定したり、父母の合意で単独親権とすることができたりと国ごとに異なる。

 さらに欧州連合(EU)は、国際結婚が破綻した場合に日本人の親が子を連れて帰国し、面会も厳しく制限しているとして、連れ去り禁止などの対応を日本政府に要請している。

 いずれにせよ離婚後も両親が協力し子を育てていくための法整備は必要だ。共同親権は離婚時の親権争いを回避でき、養育費支払いや面会交流がスムーズになるのがメリットになろう。

 とはいえ離婚の背景はさまざまで、両親の教育方針が異なって子が板挟みになるケースなども想定される。子の負担増に留意が必要だ、離婚に際して子の意見をくみ取り、その後に反映させる制度も検討したい。

 共同親権の導入案は、父母の協議で共同親権か単独親権のどちらにするかを決め、合意しなければ判断を家裁に委ねることも想定する。DVなど父母の抱える事情によっては単独親権を妨げてはならない。家裁は自治体など関係機関と連携を密にした対応が求められる。

 自治体が離婚届を受け付ける際、養育費支払いなどについて合意しているかを確認する仕組みも考えられる。たたき台では、こうした取り決めをしないと原則離婚できないとする案も示された。

 共同親権と単独親権のどちらを原則と位置付けるか、また共同親権の場合、子の日常的な世話や教育をする「監護者」を定めるかも論点となる。法制審の部会はたたき台を基に民法改正の中間試案を8月末に示し、意見を募る。国民の声に耳を傾け、集約を図ってもらいたい。

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