協議離婚に養育取り決め義務付け案 法制審で議論、慎重意見も

学級崩壊法制審議会

https://mainichi.jp/articles/20220719/k00/00m/040/317000c

毎日新聞 2022/7/19 19:09(最終更新 7/19 21:20) 935文字

 家族法制の見直しを検討している法制審議会(法相の諮問機関)の部会は19日、民法改正の中間試案取りまとめに向け、父母の話し合いのみで成立する「協議離婚」に一定の条件を設ける制度案を議論した。離婚を検討している父母に、離婚後の子の養育について取り決めることを義務付ける内容。協議離婚のハードルを上げることになり、導入に慎重な意見も示された。

 日本では夫婦の離婚は協議離婚が主流で、離婚件数全体のおよそ9割を占める。ただ、協議離婚には裁判所など公的機関が関わらないため、離婚後の養育費や面会交流の具体的内容を定めないまま離婚に踏み切る父母もいる。このことが、養育費の未払いや親子交流の断絶の要因になっているとの指摘があった。

 部会資料によると、新制度案は、協議離婚をしようとしている未成年の子の父母に対し、離婚後の養育費の支払いや親子の面会について必要な取り決めを義務付ける仕組み。併せて、離婚後の子の養育について父母が学ぶ「離婚前講座」の受講も協議離婚の条件とする案が示されている。

 こうした案は、離婚前の父母の話し合いを促す効果が期待できる一方、離婚までに時間がかかるケースも予想される上、取り決めの適正性の確保や講座受講の確認方法に課題がある。導入の可否について、引き続き意見が交わされるとみられる。

 部会では、養育費の着実な支払いを可能とする新制度案も議論された。従来よりも養育費の請求権を行使しやすくなる仕組みや、家庭内暴力(DV)で養育費支払いの取り決めができなかった父母に対応するため、一定額の養育費請求権が自動的に発生する「法定養育費制度」を設ける案が取り上げられた。

 離婚後の面会交流の機会を確保するための新たな裁判手続きの導入も議論された。父母の葛藤の影響で別居親と子の交流が長期間滞ると、親子関係にあつれきが生じることもあるため、一定の要件を満たした場合に、家裁が暫定的に親子の面会交流の実施を決める手続きとなる。

 部会には、現行の「離婚後の単独親権」に加え、離婚した父母双方を親権者にする「離婚後の共同親権」を選択できる制度の導入案も示されている。部会は、これら離婚後の子の養育を巡る多様な論点を盛り込んだ中間試案を8月にもまとめる方針。【山本将克】

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