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6/20(月) 18:43配信
TBS NEWS DIG Powered by JNN
近年「3組に1組が離婚する」という言葉もある中、離婚した後「子どもをどう育てていくのか」が重要視されます。現在の民法では父母いずれかの「単独親権」で、「母に親権」が渡るケースが9割以上です。離婚後の父親と母親が、子どもの親権を共同で持つ「共同親権」を日本でも導入するかについて、法務省の専門家会議が具体的な制度の議論を進めていることが分かりました。親権をめぐる課題や今後の議論について見ていきます。
【写真を見る】離婚後の「共同親権」日本での導入は? 現在の民法では父母いずれかの「単独親権」 それぞれの「課題」と「今後の議論」
■子どもの「共同親権」導入なるか? 日本の民法は「単独親権」
ホラン千秋キャスター:
「共同親権」について考えます。今後、日本でも導入されるんでしょうか?
離婚した後に2人で共同親権を持って育てていこうというものです。
まず、婚姻届を出したカップルを見ていきましょう。
2020年婚姻届を提出したのは52万5507組。
そして、離婚届を提出したのは、19万3253組となるわけです。(厚労省 人口動態統計2020年)
近年「3組に1組が離婚する」という言葉もあるわけですが、離婚した後、お子さんをどう育てていくのかというところが重要視されるわけですよね。
その上で、現状、日本は単独親権ですので、離婚の場合、どちらが親権を持つのかということが議論に上がります。
親権とは、子どもの利益のために監護・教育を行ったり、子どもの財産を管理したりする権限・義務のことなわけです。
では、改めて日本の現状というのを見ていきましょう。
現在の民法では、単独親権のみが認められています。ですので、お父さん・お母さんが離婚した場合、そのどちらかが親権を持つ単独親権ということになるわけなんですよね。
では、お父さん・お母さんそれぞれ親権を持つ件数というのはどれくらい違うのかというのを見てみると
父に親権…1635件、
母に親権…1万6908件 (2020年度司法統計より)
圧倒的に母親に親権が渡ることの方が多いわけなんです。
この現状を見てみまして海外と比べましても「共同親権」ということを考えていく必要があるのではないかということで議論が行われています。
法務省の専門家会議が行っている議論なんですが、離婚した後も、どちらかだけに親権が渡るのではなく2人協力して育てていきましょう、というものが共同親権なわけなんですが、法務省の法制審議会の部会は「子どもの貧困や虐待を防ぐ上で離婚した後も双方が最後まで責任を持つべき」だとして、「共同親権」について検討しているわけなんです。
■「単独親権」「共同親権」それぞれの課題
ホランキャスター:
では、日本が今認めている「単独親権」、そして導入が考えられている「共同親権」、それぞれの課題というものを見ていきましょう。
萩谷麻衣子弁護士によると「子どもにとっての幸せを考え議論をしていくことは必要」ということです。
【単独親権の課題】
・子どもとの関わりが少ないため、養育費がきちんと支払われない
ちなみに母子家庭で養育費を受け取っている家庭は24%ということですので、その数字というものも課題になっているのかもしれません。
逆に
・養育費を支払っていても子どもとの面会・交流が極端に少ない など
養育費を支払っていても、払っていなくても課題があるというのが「単独親権」のようです。
【共同親権の課題】
感情的に対立して離婚に至るということが多く、子どものためとはいえ、割り切って簡単に協力できるものではない(教育・大きな病気の治療など意見が対立しやすい)
「共同親権」というものを導入したとしても、何らかの支援制度が必要なのではないかと話しています。
井上貴博キャスター:
DVなどの問題もありますし、もう本当ケースバイケースで一概に言うことはできませんが、夫婦が離婚したとしても子どもの親であることは変わりませんので、選択肢が増えるというのは、進めていただきたいなとは感じます。
スポーツ心理学者(博士) 田中ウルヴェ京さん:
私もそう思います。選択肢が増えるということはつまり、その議論が増えるということなので、議論をしないと何が課題で、どちらにメリット・デメリット、両方メリット・デメリットあるねみたいな話をすることが大事ですから、共同親権の話が出ることはとても賛成です。
一方で、課題はそのご夫婦によって違うということがまず大前提ですけれど、もう一つ、大前提は子どもという「宝」。資本という言い方もできるかもしれませんが、子どもは社会にとってのとても大事な宝ですから、どのように社会が育んでいくかということが前提で話し合われることが大事だなと思います。
つまり、ご夫婦のどちらかに責任を持つべきという言い方よりは、子どもを育てるということは実は大人の人間的成長にも、とても大切なもので、誰かの子どもだとして、みんなで、どのように子どもを育んでいくかという中での共同親権なんだという俯瞰的な見方をすることで、また違った解決策が出てくるということもあろうかと思います。
井上キャスター:
家族単位だけではなくて社会全体というか、それを綺麗ごとではなくて全体として社会として国としてどういうふうに子ども育んでいけばよいでしょうか。
スポーツ心理学者 田中さん:
例えば、離婚は駄目だとか、結婚は良いことだではなくて、社会で子どもを育てるとはどういうことかということから話し合われていくこともすごく大事だと思います。
■夏にも中間的な案の取りまとめ
ホランキャスター:
法務省での部会で行われている議論も、共同親権だけにしましょうということではなくて、様々な形というのが話し合われています。
今まで通り単独親権の方がいいんじゃないかというような議論であったり、共同親権を原則にするという話、それから双方を組み合わせるのはどうだろうかなど話し合われているということなんですね。
そして、共同親権を導入した場合、お父さん・お母さん、2人に親権がありますので
日常的に子どもの面倒を見るのはどちらになるのか、それを監護者と呼ぶということですが、その監護者をどう決めていくのかも議論されているそうです。
そして夏にも中間的な案の取りまとめを行い、国民の意見も募集するということだそうです。
井上キャスター:
この共同親権はもちろんのことですけど、先ほど広い話でいうと、例えば養育費についても、周りでも実際に受け取れない人がいて、でもそれをしっかりと養育費を支払わなければならないという仕組み作りも少し日本は遅れている。そういうところも含めて議論を進めていただきたいなと思います。
スポーツ心理学者 田中さん:
大きな議論から細かい課題の解決ということは必要です。例えば、養育費も今は男性が、ではなく女性が養育費を支払うことも当然あるわけで、社会進出の仕方も変わってきましたし、細かいことをこれからしっかり決めなきゃいけないんですよね。
井上キャスター:
ウルヴェさん自身は国際結婚されてますので、そこの考え方はかなりフレキシブルですか?
スポーツ心理学者 田中さん:
元々、日本人だったので本当にびっくりすることは、例えばフランスでは婚姻届を出していないカップルもたくさんいらっしゃいますし、例えばお1人のお子さんを3組ぐらいのカップルが、それぞれが一緒に育てるみたいな体系になったりもしています。大切なことは、お子さんにとって何が幸せかって、彼女たち・彼らたちが決められなかったりもするので、どのようにあると良いかってことを大人がいろいろなところから解決を考えていくってのが大事かと思います。
井上キャスター:
日本はまだまだ「家族はこうあるべきだ」というのが強い気はします。