憲法学者の木村草太氏が3月22日、自身のツイッターを更新し、現在継続している憲法を争点とした訴訟に、勝訴は「不可能だと思う」と発言した。
映画評論家の服部弘一郎氏が、「僕自身は『選べることはいいことだ』と思っているので、単独親権で父母のどちらか一方が親権者になる以外に、共同親権を持つという選択肢があってもいいと思う。でも共同親権という仕組みを使いこなせる人は、現在の単独親権でも困らないと思うけど。」とツイッターで発言したのを受けて。
木村氏は「事実婚カップルや、離婚後に仲良く共同養育している人が、父母そろって『非婚姻の父母にも共同親権を認めるべき』という訴訟をやれば、勝訴可能性もあると思うのですが、現状、父母のコミュニケーションが取れていなそうな人ばかりが共同親権を主張しているので、不可能だと思います」と、婚姻外の単独親権の違憲性について主張する訴訟の勝訴可能性を否定した。
現在、民法818条の婚姻外の単独親権規定が憲法違反であることを訴えて、3件の国家賠償請求訴訟が継続している。
2019年に提起された違憲訴訟の原告で、ライターの宗像充さんは、「継続中の違憲訴訟に、原告を貶めることで権利を否定している。あからさまな訴訟妨害」と憤った。
宗像さんは服部氏の親権選択発言にも「『父母の婚姻中は』共同親権とし、婚姻外に単独親権を強制して親子関係が否定される法の構成について、憲法14条による社会的身分による差別だと訴訟では問題提起している。使いこなせるかどうかの問題ではない」と首を振る。
また木村氏には、「親どうしの不仲が、片親を子どもから引き離すという権利侵害の原因だと知っていて敗訴を願う点で木村氏の発言は悪質。憲法学者が基本的人権を尊重する立場なら、司法が単独親権規定の違憲性を認定するよう促すのが本来の役割ではないのか」と嘆息した。(2022.3.22)