参院選、国際的人材育成、司法改革、皇室、地方分散…政権が対応すべき「5つの課題」に注文

共同親権は政治課題のトップ5に入ってきたみたい。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fbeff4d29880bccebd0e2cb823ee869563ec4972

2/8(火) 17:00配信

夕刊フジ

岸田首相(中央)は、山積する課題を克服できるのか

【岸田政権の功罪】

今週のシリーズでは、「岸田文雄内閣の功罪」を少し手厳しく指摘した。ほかにも気になることがあるので、ぜひとも対応してもらいたい課題を5つ選んで、一言ずつ注文をつけたい。

まずは、参院選だ。自民党政権は何度も参院選に敗北して、ねじれ国会で機能不全に陥ってきた。また、「憲法改正の発議」でも鍵は参院である。平均的な任期の長さと議席総数の少なさを考慮すると、参院の1議席は衆院の4倍の価値がある。

ところが、大臣になれる可能性は半分なので、実力もあって浮動票も望める人は衆院に流れるし、くら替えも多い。政権安定のためには、参院議員をもっと優遇し、現職の衆院議員と参院議員を入れ替えてでも、参院選挙の勝利に万全を期すべきだ。

次は、新型コロナの弊害である。コロナ禍は、日本と海外諸国の留学生交流をひどく縮小している。これは国の将来にとって憂慮すべき事態だ。国際的に通用する日本人を育成し、「親日派」を増やすためにも甘く見るべきでない。

コロナ禍で、世界に羽ばたくより国内で医者になる指向がますます強まっては、日本経済の先行きは真っ暗だ。就労目的の留学生への規制をすることや、技術流出対策は別の問題で留学生は歓迎すべきものだ。融通が利かない水際対策も論外だ。

3つ目は、司法制度だ。フランスが、日本人女性による実子連れ去りに対して、誘拐犯としての逮捕状を出した。共同親権を認めないとか、離婚後の親が例外的な事情もないのに子に会えないとか、裁判所の命令に反して国外に子を連れ出すなどは、文明国とは思えない。いわゆる「人質司法」とともに、改革を断行すべきだ。

皇室の問題もある。小室夫妻は相変わらずお騒がせだし、皇位継承問題も大事だが、それ以外にも問題は山積している。

宮内庁HPの「天皇皇后両陛下のご日程」を確認する限り、両陛下は、コロナ禍勃発(2020年1月~)から、コロナ現場へも、災害現場へも、直接には慰問に行かれていない。愛子さまの登校も少ないと聞く。宮内庁は慎重すぎるし、皇室の伝統にも反する。

ここのところ、佳子さまや愛子さまの結婚が話題になるが、よほど重要なのは、悠仁さまの帝王教育とお妃探しである。いずれも宮内庁の官僚集団の手に負えないことばかりだ。現代のヨーロッパや戦前の日本では、政府がもっと重大問題として関与してきたのである。

最後に、コロナ禍で東京一極集中にブレーキがかかっているのはけがの功名だが、だからといって、地方分散政策の手を緩めるべきでない。これまでも少し良い兆候があると安心して、その後に、新たな東京集中の波が襲ってきたことの繰り返しだ。自民党の大物政治家も、定数是正に文句言うより、抜本的な地方分散策を考えることに頭と精力を使うべきだ。 =おわり

■八幡和郎(やわた・かずお) 1951年、滋賀県生まれ。東大法学部卒業後、通産省入省。フランス国立行政学院(ENA)留学。大臣官房情報管理課長、国土庁長官官房参事官などを歴任し、退官。作家、評論家として新聞やテレビで活躍。徳島文理大学教授。著書に『365日でわかる日本史 時代・地域・文化、3つの視点で「読む年表」』(清談社)、『日本人のための日中韓興亡史』(さくら舎)、『日本の総理大臣大全 伊藤博文から岸田文雄まで101代で学ぶ近現代史』(プレジデント社)。

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