香取慎吾はケジメで結婚したが…中高年「事実婚」のメリット&デメリットを専門家が解説

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1/14(金) 9:06配信

日刊ゲンダイDIGITAL

とりあえず一緒に住もうか?(C)日刊ゲンダイ

 新しい地図のメンバー・香取慎吾(44)は、昨年末、一般女性との結婚を発表した。10代から交際していて事実婚状態だった女性らしい。2人の愛のカタチはさておき、世の中、事実婚ってどうなのか。

【写真】香取慎吾の結婚にキムタクも祝福コメント

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 香取と女性はすでに同居していて、事実婚状態だったとされる。さらに香取は、彼女の両親に都内のマンションをプレゼントしていて、彼女や両親に誠意を示し、仕事とプライベートのタイミングをうかがっていたフシがある。それだけに今回の結婚発表は、彼女へのケジメとみられる。

 香取の行動はあっぱれだが、なかなかマネできることではない。男女問題研究家の山崎世美子氏が言う。

「トップアイドルという仕事を全うするには、恋愛どころか結婚はご法度になります。香取さんはそこを守り抜いて、ファンの気持ちに配慮しながら、彼女にも気を配っていたと報じられています。彼女の両親にマンションをプレゼントしたのは、その気持ちの表れでしょうし、“いつかは結婚”のタイミングをうかがっていた行動と読めなくもありません。トップアイドルだから、今回のケジメは成立しますが、一般の若いサラリーマンでは成立しにくい」

 一般の男性が結婚を保留するなら2、3年がせいぜいか。20年も結婚を保留して事実婚だと、ケジメを忘れてしまいそうだ。

 ここで簡単に事実婚の定義を押さえておく。事実婚とは、婚姻届を出して共同生活をする法律婚の対義語で、婚姻届を出さなくても結婚の意思を持ち共に暮らす男女を指す。戸籍は別々で、住民票の続き柄に違いが見られる。法律婚は「夫」「妻」なのに対し、事実婚で同居すると「夫(未届)」「妻(未届)」になる。

 2010年の国勢調査によると、事実婚は約60万人。一概に比較はできないが、21年の法律婚約53万人を7万人上回る。軽視できない。
子供の反発をかわす材料になる

男を上げた(C)日刊ゲンダイ

 いろいろな事情を抱えて事実婚を続けるカップルが少なくないわけで、そのメリットも、当然ある。そこで、事実婚の損得について、山崎氏に聞いた。

「男女で事実婚を望んでいても、女性が20代くらいの出産適齢期だと、子育てを考え、入籍に傾くことが多い。事実婚は共同親権を持てないためで、事実婚を望む男性との間に溝が生まれやすいのです。その点、中高年同士のカップルなら、子供を望む女性が少なく、子供での意見対立はまれ。何より相手を選ぶ基準が恋愛感情ではなく、生活スタイルにあり、その折り合いがつけば、すんなりといきやすいのです」

 中高年は、親の介護があったり、成人した子供の反発を受けたりして、事実婚をするにも大変そうだが……。

「逆です。どちらかに介護が必要な親がいる場合は、通い同棲のような“半事実婚状態”を挟み、事実婚を待つケースが珍しくありません。たとえば、女性が親を介護している場合、介護が必要なときは自宅にいて、必要ないときは男性の自宅で過ごす。特に女性は『親を見送ってから』と考えるので、関係をうまく取り持つには、柔軟な対応が不可欠。法律婚にこだわることはないのです」

 子供への対応もしかりだという。

「高齢者の再婚を巡っては、子供から『財産目当て』と猛反発されることがあります。しかし、事実婚だと、パートナーに相続の権利がないので、子供の反発をかわすことができます。あえて事実婚を選ぶ中高年がいるのはそのためです」

 事実婚は税制面の不利が多く、扶養控除や配偶者控除が受けられない。パートナーに相続権がないのもそのひとつだ。ただ、そのまま事実婚に突き進むと、男性が亡くなった場合、残された女性がピンチになる。工夫が必要だ。

「自宅が持ち家だと、財産分与の対象になり、相続人の間で分割されて、最悪の場合、相続権のない女性が家から追い出される恐れがあります。そうならないように、遺言を残し、自宅については『妻の生存中は居住できる』などと記しておき、生活が困らないように財産分与もある程度用意しておくことです」

 法律婚だと、改姓に伴って銀行やクレジットカード、携帯電話など多くの変更を余儀なくされる。相手の親戚付き合いも避けられないだろう。

 事実婚なら、姓がそのままだから、銀行などの手続きが住所変更などで済む。親戚付き合いも、入籍するより軽くなることがあるという。

「たとえば、女性の親の介護や闘病で費用がかさんだとき、法律婚だと家庭によっては一部の費用負担を求められることがありますが、事実婚なら金銭の要求は少ないイメージです。中高年の結婚には、若いときとは違うわずらわしさがハードルになりやすいのですが、事実婚はそのハードルを下げる効果がある。その意味は、とても大きいです」

お互いの過去を知る異性の友達

恋人が支えに(C)日刊ゲンダイ

 女優の深津絵里(49)は7年前、最愛の母を亡くしている。そんなとき深津を支えたのが、専属スタイリストの男性で、「女性自身」は交際期間が今や15年に及び、事実婚状態と伝えている。中高年になると、家族や周りで大切な人の死と隣り合わせだ。もしそれで寂しさを感じたら、パートナーと事実婚で寄り添うのもひとつの手だ。

「家族や友達の死が相次ぐと、だれしも寂しさが少しずつ募ります。過去を共有できる人がいなくなるのはつらい。腐れ縁というか、昔からの知り合いとほそぼそとでいいからつながっていたいと思うのが、この中高年。私の相談者の中にも、そんな周りの死をキッカケに事実婚に踏み切っていいかどうか悩んで来られることがあります。『50代からは、一人でいたらアカン』が私のモットーですから、『相手がいるならぜひ、第一歩を踏み出してください』と背中を押します」

 それが法律婚でないのは、これまで記した通りでお互いの複雑な事情による。「ほそぼそと」がキーワードだという。

「中高年の事実婚は、若いころと違い、仕事も生活も上昇志向がなくなるので、今をほそぼそと楽しむスタイルです。出向や左遷もあるかもしれませんが、パートナーがいれば不安は和らぎます。そんなつらい目に遭おうと、遭うまいと、それぞれに生活力があり、それぞれの財布がある程度自由になるため、つらい状況をしのぐには最適のスタイル。お互いの過去を知る異性の友達くらいの感覚でいるとうまくいきやすい。離婚経験者も、中高年まで未婚の人も、ハードルの低い事実婚はお勧めです」

 ちなみに、事実婚でも社会保険には加入できるし、死亡保険の受取人になるのも可能だ(保険会社によって手続きは異なる)。もちろん、将来、法律婚に移行してもいい。人生の折り返しを過ぎて独身なら、事実婚を考えてみてはどうか。 

3年前