【独自】実子連れ去りで、仏当局が日本人女性に逮捕状。夫に見解を聞いた

日本は対応せざるを得ない」専門家指摘も
2021年12月01日 06:00

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SAKISIRU編集部

フランスの捜査当局が、日本在住のフランス人男性の日本人妻に対し、2人の実子を連れ去り、男性と会わせなかったとして、略取容疑で逮捕状を請求、同国裁判所が発行したことが30日、明らかになった。AFP通信が同日速報し、国内でも共同通信が報じた。2人の子どもたちは日仏両国籍を持つため、フランス側に捜査権限があるという。
BeritK /iStock

日本では2013年、「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」(ハーグ条約)にG7で最後に批准し、翌年から条約や関連法は施行されたが、親が離婚した場合の単独親権制度は継続している。他方、フランスなどEUでは、子どもを共同監護する権利を認めている国が大半で、日本人の片親による子どもの連れ去りが社会問題化し、ハーグ条約との乖離に対する非難が強まっていた。

EU議会は昨年7月、「日本におけるEU市民の親からの子の連れ去りに警鐘を鳴らす」とする決議を、賛成686票、反対1票、棄権8票の圧倒的多数で採択。決議ではハーグ条約を念頭に「EUの戦略的パートナーの一つである日本が、子の連れ去りに関する国際的なルールを遵守していないように見受けられることを遺憾」と表明。子どもの保護に関する国際法を履行し、共同親権を認めるよう法制度の変更を行うことを求めている(参照:駐日欧州連合代表部サイト)。

逮捕状を請求された女性の夫であるフランス人男性は30日夜、サキシルの取材に応じ、フランス政府に対し「日本政府に私と妻を仲介するように求めてほしい」と要望した。当局側から今回の逮捕状決定に関して事前に連絡は受けていなかったという。さらに男性は「日本の裁判官は、数か月以内に子供の監護権を決定する必要がある。逮捕状を取られた私の妻を監護者に指定するのか」と主張していた。

一方、AFP通信によると、日本人妻の代理人弁護士はコメントを避けている。

ネットでは、今回のニュースについての関心は高く、共同通信の当該記事のヤフーニュースでは、30日深夜までの7時間ほどで2400を超える書き込みがあった。ツイッターでは、自民党の牧原秀樹衆院議員もツイッターで記事に反応。「大変深刻な問題であり、国際的に日本の評価を下げています。EUでは人権問題になっています」と指摘した上で、「DV被害の場合はもちろん保護されるべきですが、そうでなければ「連れ去り」になるような場合は問題です」と強調した。牧原氏は、親権制度改正派の議員でつくる「共同養育支援議員連盟」で事務局長を務めている。

また、2ちゃんねる創設者で、フランス在住の西村博之氏が言及、「日本は、離婚した父親が子供に会えないのは当然ですが、『子供は親に会う権利がある』というハーグ条約を批准したので、外国人の父親の面会拒否が難しくなりました」と、ここまでの経緯を解説。さらに西村氏は「母親はフランスで犯罪者ですが、日本も法整備を進めているので、日本でも犯罪者になるのは時間の問題かと」まで踏み込んだ。ただ、共同親権の導入を巡っては、法務省の法制審議会で現在話し合われている最中で結論は出ていない。

一方、親権問題で積極的に発信している栗原務弁護士は「これは、、インパクトでかいね」と驚いた様子。今後の動きについて「『刑事に関する共助に関する日本国と欧州連合(EU)との間の協定』に基づき、日本は対応せざるを得ない」と展望していた。。

3年前