11/20(土) 7:00配信
マネーポストWEB
衝動的な離婚にはリスクも
2020年発表の2019年の日本の離婚率(人口1000人当たり)は1.69%だったが、2020年は1.57%とやや減少。コロナ離婚が取り沙汰されたが、実は離婚した人は減っていた。一方で、人生で離婚を経験する確率を、国立社会保障・人口問題研究所の2019年「人口統計資料」より算出すると、24.44%となる(実際は何度も離婚する人がいるが、1人1回として推計)。約4人に1人が別れるという、決して少ないとは言えない結果に。
【図解】離婚の多い都道府県、離婚の少ない都道府県
「これまで仕事ばかりで子育てや家事には一切協力しなかった夫が定年退職。ここ数年は会話も激減し、今後夫と2人で過ごすと思うと気が重く、離婚を考えています」
と話すのは、沖縄県在住の専業主婦・F恵さん(52才)。
「特に専業主婦だった妻の離婚はリスクを伴うので、注意を」とは、離婚カウンセラーの岡野あつこさんだ。
「離婚では、女性が圧倒的に経済的に困窮しやすい。日本では子供の親権を母親が取り養育費がもらえるケースが多いですが、それだけでは暮らせず、仕事や住む場所を新たに探す必要があり、夫の養育費が滞ればひとりで育てるリスクも出てきます。
また、日本は共同親権ではなく単独親権ですが、最近は『父親が親権、母親が養育看護』と分ける方法も登場。実はこれ、子供への父親の責任感が生まれる結構いい裏技なんです」(岡野さん・以下同)
離婚の際の慰謝料や財産分与についてはどうか?
「これまでの相談例では、慰謝料は浮気の証拠があれば請求相場が夫と愛人セットで300万円前後。DVなど暴力で別れる場合は100万円程度。熟年離婚の財産分与は、退職金も年金も折半が原則なので、結構な割合で紛糾します」
夫が自営業で妻の方が収入が多い場合は、離婚時に妻が夫に財産分与することもあるので、衝動的な離婚は禁物だ。
「夫から『離婚してくれたら悪いようにはしない』と言われ、協議離婚する人がいますが、その際『お互い何も請求しない』と書いた合意書にサインするのはNG。本来なら、財産分与は離婚後2年、慰謝料は3年請求できることが無効となってしまいます。離婚カウンセラーに相談に行って数々の事例に学び、法律は弁護士に相談して理論武装するのが大事。調停員を味方につける方法も助言できます」
離婚は水面下でクールに準備をすることが重要なようだ。
【プロフィール】
岡野あつこさん/夫婦問題研究家。離婚カウンセラー。離婚相談連盟代表理事。30年間のカウンセリングで3万6000件以上の夫婦問題の相談に携わる。YouTube『岡野あつこチャンネル』配信中。
取材・文/北武司 イラスト/亀川秀樹
※女性セブン2021年11月25日号