子の連れ去りトラブル相次ぐ 妻がDV口実に支援制度“利用” 対応巡り行政提訴の事態も 背景に「単独親権」

家宅捜索ですら裁判所の令状がいるのに、子どもの「持ち出し」は手続きなしとか、どれだけ人権蹂躙なんでしょう。

https://news.yahoo.co.jp/articles/24657d512f9aa49dfef25688b2038daa20cad528?page=1

9/8(水) 6:06配信

上毛新聞

 夫婦間の不和などを背景に、配偶者のどちらかが一方的に子どもを連れて別居する「子の連れ去り」を巡るトラブルが、全国で相次いでいる。引き離された側が親権を得るハードルは高いとされ、「連れ去り勝ち」との指摘も上がる。ドメスティックバイオレンス(DV)の支援制度が、本来の趣旨から外れて連れ去りの口実に利用されているとして、当事者が群馬県内の自治体を提訴する事態も起きている。(真下達也)

「裁判を通じ子どもが連れ去られた経緯を明らかにしたい」と話す男性

 埼玉県の40代男性は、小学生の子ども3人と2年余り会えていない。2019年8月、妻が子どもを連れて自宅を出て行った。当初は実家のある前橋市で数日過ごすだけだと思っていたが、音信不通が続き、実家を訪ねても「知らない」と門前払いされた。警察には捜索願を受け付けてもらえず、「何が起きているのか分からなかった」。

 経緯は徐々に明らかになった。男性によると、妻は実母の勧めで、「夫がDVや、子どもへの虐待をしている」と同市に相談。市はDV防止法に基づく措置として被害保護証明書を作成し、警察への相談を促したり、民間シェルターに一時保護したりしたという。

 これに対し男性は、夫婦関係は悪化していたものの「妻の訴えは虚偽」と主張する。相談に適切に対応すべき注意義務に違反したなどとして、市に300万円の損害賠償を求め5月、前橋地裁へ提訴した。

 男性は「市への相談をきっかけに、半ば自動的に子どもとも引き離されてしまった。最も被害を受けているのは子ども」と強調する。8月25日に開かれた第1回口頭弁論で、市側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。

 子どもを巡る係争は増加し、2020年度に前橋家裁(支部を含む)が受理した子の引き渡しに関する審判の申し立ては、過去10年で最多の66件(速報値)に上った。男性のように「子の連れ去り」被害を訴える声は全国で相次ぎ、名乗り出る著名人もいる。

 「子どものための共同養育支援法をつくる会」の猪熊篤史代表(渋川市)は、離婚すると一方の親だけが親権を持つ民法の「単独親権制度」が、トラブル増加の背景にあると指摘。離婚後も子どもに父母との交流を認める法整備を求める。「DV被害を主張することや、配偶者に子どもを会わせないことが、離婚を有利に進める戦術として成り立っている面がある」とし、行政は相談内容を慎重に確かめる必要があるとした。

一方、DVに関しては当事者同士の主張が食い違うケースがほとんどのため、相談を受けた行政はDV対応を優先せざるを得ないとの指摘もある。県内のあるDV被害者支援団体は「被害に遭ったかは、被害者の認識に基づいて判断されるのが大前提。今の運用を見直すべきではない」と主張する。
海外は「共同親権」主流

 法務省が昨年4月に公表した親権に関する24カ国の調査によると、日本と同様に、離婚後は父母の一方を親権者と定める単独親権のみを認める国はインドとトルコだけで、欧米などは共同親権を導入していた。

 子の連れ去りは国際問題になっている面もある。欧州連合(EU)の議会は国際結婚が破綻した場合などに、日本人の親が国内で子どもを一方的に連れ去ることを禁じるよう日本政府に求める決議案を採択している。

 単独親権制度により親子関係が断絶したとして、群馬県在住の男性を含む6人が同年10月、東京地裁に国家賠償請求訴訟を提訴。共同親権制度を認めるよう民法改正を求めている。国の法制審議会は今年2月から、共同親権制度の是非を含め、離婚や関連制度の在り方を議論している。

3年前