「子連れ去り」議論深まるか 日仏首脳、24日に会談

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021072300615&g=int

2021年07月23日20時33分
日本人の妻が子供を連れて突然家を出たと訴えるフランス人のバンサン・フィショさん=10日、東京都内(AFP時事)

日本人の妻が子供を連れて突然家を出たと訴えるフランス人のバンサン・フィショさん=10日、東京都内(AFP時事)

 【ナポリ(伊)時事】訪日中のフランスのマクロン大統領は24日、菅義偉首相と会談する。マクロン氏は国際結婚の破綻に伴う、いわゆる「子供の連れ去り」についても問題提起する見通し。法制度の違いなどから両国の隔たりは大きく、議論が深まるかは不透明だ。
 ◇「誘拐」と非難
 フランスでは共同親権が認められ、夫婦関係が破綻しても双方が子供に会う権利を持つ。親の一方が無断で子供を連れて引っ越すことは禁止されている。
 日本は単独親権で、離婚した場合、子供と暮らしていない親が面会交流を認められない場合もある。両国の制度の違いから、これまでに多くの争いが報告されてきた。
 日本に住むフランス人のバンサン・フィショさん(39)は、日本人の妻が子供を連れて突然家を出たと訴え、今月10日からハンガーストライキを行っている。21日に日本外国特派員協会を通じてオンラインで記者会見し「子供は誘拐された。人権に関する国際法の重大な侵害だ」と訴えた。
 ◇別居やむを得ぬケースも
 ただ、配偶者による家庭内暴力(DV)などの事情でやむを得ず子供を連れて逃げるケースも報告されており、「誘拐」という一方的な批判には異論もある。
 日本人とフランス人の両親を持つマリアンヌさん(46)は仏での婚姻期間中、経済的理由による元夫からの要望で子供と日本に帰国し、その後離婚。元夫からインターネット上で「誘拐犯」などと中傷され、「ひどく苦しんでいる」と話す。元夫はネットを使った子供との定期的な面会を要求しているが、子供に対しても暴力的な態度を取ることが多いといい、「子供自身が父親と話すのを非常に嫌がっている」と語る。
 フランスの法律では、DV加害者が自宅から退去させられるため、必ずしも被害者側が子供を連れて別居する必要はない。国際離婚に詳しい尾家康介弁護士は「日本ではDV加害者を家に近づけないようにする制度もあるが、実際には身の安全を確保するため、被害者が子供を連れて家を出るケースも多い」と説明。別居がやむを得ない場合もあると理解を求めた。

3年前