朝日新聞が、ネット上の「論座」で7月11日に配信した「わが子を連れ去られたフランス人男性の訴え」を7月16日付で削除したことがわかった。「論座」のサイト上では、「この記事では、子どもを妻に連れ去られたとして、面会を求める父親の主張をご紹介していました。双方の主張が異なる事実を伝える際には、より慎重な配慮が必要でした。編集部の確認が十分ではありませんでした。おわびいたします。」と記載され、記事が閲覧できなくなっている。
この扱いに対し、記事を書いた栗田路子さんは、「朝日新聞の鉄則が、どんな場合でも両論併記という免罪符を重視するとのことでしたので相談の上、削除となりました。人権や少数派の権利を扱うジャーナリズムでは、両論併記は意味を持たないことは、多少のジャーナリズム論を紐解けば明らかですが、日本だけが井の中の蛙になってしまうのはこのため。」とSNSのツイッター上でコメントしている。
この件に関し、共同親権訴訟の原告で、自身もジャーナリストである宗像充さんは、「フィッショさんの行動は、海外メディアで連日報道されているが、国内の大手メディアだけが沈黙を保っている。共同親権や子の奪取の問題では、度々記事が削除されたり、海外で報じられた国内の事件が国内で紹介されなかったりといったケースが度々ある。2019年にオーストラリア出身のスコット・マッキンタイアさんが、子どもの居所を知ろうとして住居侵入で逮捕されたときも、海外では報道されたのに大手メディアは沈黙した。大手メディアが自身の主張から一方的な記事を掲載するのはよくあり、朝日新聞も例外ではないと思うが、制度の不備を訴えているフィッショさんの行動を伝えないことまで中立と呼んでいいのか」とコメントした。(2021.7.17)
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