単独親権制度の闇…「元夫と子を会わせない」がまかり通るワケ

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共同親権が日本を救う【第3回】

共同親権が日本を救う

愛する家族と交流できる当たり前の社会を目指して。

毎年約12万人の親が親権をはく奪され、その多くが子どもと生き別れになるという、世界に類を見ないガラパゴス社会・日本―――。

なぜ自分の子どもに会うことすらできないのか。

離婚後の養育の在り方や現行制度の課題を提言。
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単独親権制度の闇…「元夫と子を会わせない」がまかり通るワケ

本記事は、高橋孝和氏の書籍『共同親権が日本を救う 離婚後単独親権と実子誘拐の闇』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
「なぜ面会時間を長くしたいのですか」は人権問題

婚姻外共同親権が導入されると、今度は何が変わるのでしょうか。この場合、離婚時には子どもの養育計画を策定し、裁判所の許可を得ることが必須となります。概念としては、離婚後も両親が近くに住み、子どもが隔週で双方の家を行き来する等、両親の養育機会が半々になるのが一つの理想形であると言えるでしょう。

現実的にはこのようにいかないことも多々あり、例えば「基本的には一方の親の元で生活し、隔週の週末を他方の親の元で暮らす。長期休暇については半々で養育を分担する」といった程度にならざるを得ないことも多いでしょう。

しかし、虐待等がない限り、「一方の親に子どもを一切会わせない」「月1回、2時間しか子どもに会わせない」などという計画が承認されることは、原則的にありません。

ここが重要なポイントで、「月1回、2時間しか子どもに会わせない」(さらにひどいと、定期的に子どもの写真が送られてくるだけ)などということが原則的にあり得ないのは、協議のスタートラインが「半々」であるからです。理念としては「半々」が望ましいものの、実際には難しい場合が多いので、「一方の養育時間を、どの程度まで減らすのが現実的か」という形で協議が進行するから、結論が妥当なところに落ち着くのです。

現状ではスタートラインが「100:0」となってしまっており、「協議」などというのは全くの「名ばかり」となってしまっています。

よくある反論に、「面会交流の時間を長くしたいのであれば、それが子どもの福祉に資することについて、家庭裁判所に対して主張すれば良いだけであって、親権のあり方とは何の関係もない」というものがありますが、これは全くもって的外れな指摘です。

非親権者が「子どもとの面会時間を長くしたい」と主張した場合、家庭裁判所が子どもに無理を強いていないか確認するため、「習いごと等との兼ね合いで問題はないか」といった観点から質問するのは、基本的に問題ありません。しかし、子どもに月1回2時間しか会えていない親が、面会交流を長くすることを求めると、「なぜ長くしたいのか」「なぜそれが子どものためになるのか」などと問い質され、説明責任が求められるというのは、それ自体が人権問題であり、端的に言ってあってはならないことです。

法律関係者ですら、これが人権問題であると分からない人が大勢いるというのが、この問題の根深さを示しています。

単独親権論者は、「法律上「親権者」でないからといって、「親」でなくなるわけではない」といった趣旨の主張を行っていますが、こうしたことが当然のように問われるということ自体が、事実上「親」として扱われていない差別構造を明確に表しています。

例えば、特に大きな問題がない普通の婚姻家族の親に対して、「あなたが子育てをしているのは、本当に子どものためになっているのですか」などと質問する人はいないでしょう。もしこのような人がいれば、「とんでもない失礼な人だ」と誰でも感じるでしょう。それにもかかわらず、「なぜ面会時間を長くしたいのですか」というのが人権問題であると感じられないとすれば、「人権」という概念について、理解が不十分であると言わざるを得ません。

さて、養育計画が裁判所に承認された後は、どういったことが起こるでしょうか。もちろん、具体的な制度設計の詳細については将来に委ねられていますが、大まかな方向性として、仮に一方の親が養育計画に従わず、子どもを他方の親に会わせることを拒否した場合、「養育計画の不履行」を理由に、親権停止の申立を可能とすることが考えられます。

そして、それが認められたにもかかわらず、なおも子どもを会わせない場合、今度はより強い強制力を持った法律を適用可能とすることが考えられます(「人身保護法」という既存の法律を適用することも考えられます)。いずれにせよ、実際にはそこまで大ごとになることは普通ありませんので、裁判所に承認された養育計画を、両親共にきちんと履行することになります。

結局、一方の親が子どもを身勝手に連れ去っても、事実上何の刑罰もないなどという、およそ21世紀の話とは思えない現実があるのは、少なくとも先進国では日本だけだということです。
※本記事は、2021年5月刊行の書籍『共同親権が日本を救う 離婚後単独親権と実子誘拐の闇』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

3年前