「親権を失うと起こる」の恐しい事態…日本の単独親権制度の闇

https://life.gentosha-go.com/articles/-/6506

論説
高橋 孝和
2021年7月8日
「親権を失うと起こる」の恐しい事態…日本の単独親権制度の闇

共同親権が日本を救う【第1回】

共同親権が日本を救う

愛する家族と交流できる当たり前の社会を目指して。

毎年約12万人の親が親権をはく奪され、その多くが子どもと生き別れになるという、世界に類を見ないガラパゴス社会・日本―――。

なぜ自分の子どもに会うことすらできないのか。

離婚後の養育の在り方や現行制度の課題を提言。
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「親権を失うと起こる」の恐しい事態…日本の単独親権制度の闇

本記事は、高橋孝和氏の書籍『共同親権が日本を救う 離婚後単独親権と実子誘拐の闇』(幻冬舎ルネッサンス新社)より、一部抜粋・編集したものです。
第1章 単独親権制度の何が問題なのか 

「単独親権制度」に関わったことのない方は、親権を失うと具体的にどのような不都合が生じるのか、実感を持って理解するのが困難であることでしょう。この点について、事例を交えながら解説していきます。

結論から言うと、単独親権による主な不都合は以下の通りです。なお、これらはあくまで「主なもの」であり、目に見えない社会的差別を含めた不都合は、これらの他にも無数に存在します。

• 多くの場合、非親権者が子どもと二度と会えなくなる、あるいは仮に面会交流が実現したとしても、面会時間は「(概ね)月1回2時間程度」という、根拠が何もない「家庭裁判所の定める相場」に制限され、およそ家族にふさわしい質・量を伴った交流は不可能となる(定期的に子どもの写真などが送られてくるだけの「間接交流」とされることも多い)。子どもにとっても、親権者の勝手な意向次第で、一方の親と生き別れになる

• 親権者の決定に当たっては、「子どもの監護実績」が重視される。そのため、親権者になりたいと思ったら、子どもの身柄を確保して同居した上で、自らの監護実績を作ろうとする強いインセンティブが生じる。逆に言うと、相手方による「子どもの監護」を排除する方が、「親権獲得・維持」という目的に適うこととなってしまっている。そのため、以下のような問題が発生している

• 同居親が、子どもを別居親に会わせないように仕向ける大きな原因となっている

• 父母の関係がそこまでは悪化しておらず、本来であれば共同養育も十分可能であるはずの場合でも、事実上困難になってしまう

• 面会交流権を持つのは非親権者本人のみであり、非親権者側の祖父母やきょうだいには、申立の権利すらない。また単独親権者は、少なくとも子どもが自分の意思を明確に表明できる年齢に達するまでは、これらの親族に会わせないという決定権を事実上持ってしまっている。そのことについて、なぜそれが子どものためになるのか、説明責任が追及されることはない

• 多くの場合、非親権者は子どもの学校から「保護者」として扱われないため、およそ子の成長に関わることができなくなることが多い。授業参観や運動会等への同席禁止、通知表等子どもに関する情報の非開示といった差別的取扱を受けても、「校長の裁量の範囲内」として不問に付されてしまう。単独親権論者は「悪いのは学校(校長)の判断であって法律ではない」と主張するのが常であるが、彼らは「法律・制度が社会規範を作り出している」という事実が理解できない

• 日本は既に「子どもの連れ去り大国」として世界中から広く認知され、海外から何度も、単独親権制度の是正が要求されている(知らないのは日本人だけ)

• 国際結婚の夫婦が離婚した場合、さらに問題は大きくなる。例えば子どもの居住国が海外の場合、子どもが日本を訪問することは、例え一時的であったとしても連れ去りに遭う可能性があるので、一切許可されないことが多い
※本記事は、2021年5月刊行の書籍『共同親権が日本を救う 離婚後単独親権と実子誘拐の闇』(幻冬舎ルネッサンス新社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

3年前