ジェンダー不平等政党、日本共産党 都議選候補者を落選させよう!(5) DV被害へのジェンダー不平等と子どもの権利

DV施策こそがジェンダー不平等

日本共産党の「『離婚後共同親権』の拙速導入ではなく、『親権』そのものを見直す民法改正を」と題する見解(以下「見解」)は、女性の4人に1人、男性の5人に1人がDVを受けるというデータを指摘し、「共同親権」を理由に元配偶者や子どもへの支配を継続しやすくなるというのが共同親権反対の主要な理由だ。
何度も言うが、この数字はもっぱら家庭内のもので年々増加傾向にあり、共産党の理屈が正しいなら、婚姻中に共同親権であることが、DVや虐待の原因だからそもそも不適切ということになる。日本共産党はなぜ婚姻中の単独親権制度を主張しないのだ。そうしないと、現在のDVや虐待施策の失敗を責任転嫁するために、婚姻外の共同親権に反対しているということになってしまう。
ところで、共産党の「見解」はジェンダー平等委員会の名義になっているので述べるけど、男女間のDV被害の割合は、大方2:3で推移している。しかし、公的なシェルターは女性に限定されていて、民間シェルターで男性が入れることを公表しているのはぼくが知る限りでは1つしかない。
この結果、法律上は保護命令は男女ともに発出できるはずなのに、実際には男性に対して出されたという事例はまず聞かない。同じく、男性はもっぱら仕事を持っていて、住所を隠すことは困難なので、住所秘匿の市町村の支援措置は、もっぱら女性のみに出される(虐待名目で男性に出される場合もまれにある)。こういった割合の不公正は、DVについての被害割合とまったく一致していない。もちろん、共産党が言及している加害者の更生プログラムは、その有効性に疑問はあるにしても、やはり男性に限定されている。つまり、「男性=加害者、女性=被害者」の構図で、支援や法運用がなされている。ちなみに自治体の支援措置は、家宅捜索ですら裁判所の許可がいるのに、行政判断のみでなされる。
法務省が実施した24か国調査においては、トルコ、日本、インドといった単独親権国が、ジェンダーギャップが大きい下位2~4位を占める(子育て改革のための共同親権プロジェクト『基本政策提言書』)。ジェンダー平等の観点から共同親権に反対するのは苦しいけど、その理由がDVにあるとするなら、そもそもこの部分のジェンダー平等の是正が語らないのはなぜだろう。最低でも、2:3の割合で男性の入れるシェルターを設けないと、男性被害者を最初から見捨てていることになる。因果関係のない理由で、このギャップを放置するのが日本共産党の主張ということになる。

極端な事例で原則を歪める

もちろん、裁判所での親権指定では、女性が親権を得る割合は93%であり、これは、少なくないDV加害女性が親権を得て、一定程度のDV被害男性が子どもと引き離されていることを意味する。虐待の加害者で割合が一番高いのは実母だ。こういった状況は、男女かかわらず暴力の被害を受けた親たちにとっては過酷だが、危険で残酷な影響を与える子どもの割合も高まる。「見解」は、「被害を受けたことがある家庭の3割は子どもへの被害もある」という実情を指摘して共同親権への反対を導き出しているが、むしろ問題は、被害を受けた子どもが置かれた環境のジェンダーギャップではないのか。
赤旗紙の6月15日と16日の「海外に見る離婚後の養育」というシリーズ記事では、アメリカ滞在経験のある森田ゆり氏が、暴力的な父親に監護権が与えられたケースの子どもの証言が紹介されている。もちろん、共同監護でもこういった事例は出ると思うけど、それは司法の不公正の問題で今の日本ではもっと起きている。それは単独親権制度のもと親子の引き離しをスタンダードにする理由にはならない。もちろん、共同監護で子どもが2つの家を行き交えば、間に挟まれて悩む子どももいるだろう(今もいる)。しかしそのことは、「子どもにとって離婚は家が二つになること」という現実を、制度で否定することの理由にもならない。
子どもの権利条約は、子どもに対する両親の責任を諸所で言及している。そして、その9条では、「締約国は、児童がその〈父母〉の意思に反してその父母から分離されないことを確保する」とある。共同親権(共同養育権)についての法改正を求めた国連子どもの権利委員会の2019年の勧告では、小川富之氏が言うように、「子どもの最善の利益に合致する場合には」という前置きが確かにある。しかし、〈父母〉との不分離は子どもの権利条約の原則ではないということを、まずその前に法学者の小川氏も共産党も宣言しないのはなぜだろう。子どもへの責任に男女の差があると言いたいのだろう。
こういった恣意的な事例の扱いは、面会交流中の父による子の殺人事件が国内で発生した場合にも話題にされ、共同親権への反対の論拠として使われた。この場合、加害者は男性に限られ、その男性がそれまで子どもと引き離されたということすら無視される。これは「単独親権殺人」なのか、「面会交流殺人」なのか、共同親権反対の論調で守ろうとするものは、被害者ではなく、実際にはジェンダーギャップである。日本共産党は読み間違えた。(宗像 充 2021.6.30)

宗像充のホームページ
https://munakatami.com/column/jenda5/

1年前