事実婚夫婦「同姓強制は時代遅れ」23日、最高裁が2度目憲法判断

パートナーとの関係が法律婚、未婚で同姓、別姓の別があるのが差別ということですよね。

https://news.yahoo.co.jp/articles/837f17fa581a4fe7caecfa0dc5c9cf6f8a6d77a8

6/20(日) 18:43配信

毎日新聞

真島さんと有本さんが2018年に別姓を求めて提出した婚姻届は不受理となった=東京都内で21年6月1日午後8時7分、近松仁太郎撮影

 事実婚の男女3組が別姓での婚姻届を受理するよう申し立てた3件の家事審判で、最高裁大法廷は23日、民法と戸籍法の夫婦同姓規定に憲法判断を示す。3組は100年以上前にできた規定を「時代遅れ」とし、別姓を維持するために事実婚を選択したカップルが受ける不利益は、法律婚をした夫婦と比べて不合理な差別に当たると訴える。最高裁は2015年に初めて合憲判断を示しており、その後の社会の変化をどう判断するかが焦点となる。

 「互いに生まれ育った名前を尊重したい」。40代の真島幸乃さんと有本信さん=いずれも仮名=は01年、事実婚を選択した。真島さんは当時、看護師になって5年目。看護師資格は真島姓で努力して得たもので、有本姓で働く姿が想像できなかった。アイデンティティーやキャリアを大切にしたい思いは会社員の有本さんも同じだった。

 3人の子どもに恵まれた。姓が違うことで家族がぎくしゃくしたことはない。ただ、事故や病気で子どもに万一のことがあった場面を想像すると不安になる。

 事実婚で生まれた子は民法の規定で婚外子となり、母親の戸籍に入る。そうなれば、就職や結婚で不利益を受けるのではないか。子の将来を考え、真島さんは出産の度に法律婚をして有本に姓を変え、産んだ後に「ペーパー離婚」をする方法を繰り返した。子どもの姓は全員「有本」だ。

 民法は離婚後の共同親権を認めておらず、3人の親権は有本さんが単独で持つ。親権は子どもが医療を受ける場面で必要になることが多い。真島さんは「緊急の医療行為を受ける場面に直面したら、私のサインでは承諾されないかもしれない」と嘆く。

 法相の諮問機関・法制審議会が1996年に選択的夫婦別姓制度の導入を答申したが、国会の議論は長らく進まない。注目していた15年の最高裁判決も原告敗訴だった。ならば自分が動くしかない。2人は18年、婚姻届の夫婦どちらかの姓を選択する欄を夫婦両方にチェックを入れて提出。不受理となったのを不服として家事審判を申し立てた。

 新型コロナウイルス禍のこの1年は、真島さんが感染リスクがある訪問看護の仕事をしていることもあり、強いられる不利益について特に考えさせられた。「感染して人工呼吸器の装着が必要になった場合、病院との医療方針の合意はできるのか」「隔離されたまま亡くなったら、遺体の引き取りは誰がするのだろう」「相続はどうなるのか」。次々不安が浮かび、万一に備えて婚姻届も準備した。

 事実婚から20年。2人は「法律を変えなければ、同じように不利益を受ける人が生まれる」と訴える。「多様な選択肢を認める社会に」。2度目の最高裁の判断に期待を寄せる。

 ◇「別姓希望者に不当な差別」

 民法750条は「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫または妻の氏を称する」と定める。「家」制度を確立させた1898年施行の明治民法に由来するもので、戦後の法改正で夫婦いずれかの姓を選ぶよう定められた。厚生労働省の統計では、15年には96%が夫の姓を名乗っていた。

 女性の社会進出とともに、同姓規定が結婚を制約しているとの批判が強まり、法の下の平等(憲法14条)や婚姻の自由(同24条)に違反するとして合憲性を争う裁判が起こされた。15年の最高裁判決は「家族は社会の基礎的な集団単位で、姓を一つに定めることは合理性がある。女性が不利益を受ける場合が多いとしても、通称使用の広がりで緩和できる」として、規定を合憲と判断した。

 今回の審判で弁護団は新たに「別姓を希望する信条」による差別を争った。「同姓規定は、別姓を希望する人たちを法律婚から排除し、不当な差別を生み出す原因となっている」と主張。差別の具体例に、子が婚外子となることや、税法上の優遇措置を受けられないことなどを挙げた。

 内閣府が実施した世論調査では、選択的夫婦別姓制度を容認する割合が12年の35・5%から17年には過去最高の42・5%に増加しており、弁護団は「夫婦同姓規定の合理性は失われている」と訴える。大法廷は、15年以降の社会情勢や国民意識の変化を踏まえて、合憲性を改めて評価するとみられる。【近松仁太郎】

3年前