離婚後も「子どもとの関係性がうまくいく」元夫婦の特徴【弁護士が解説】

単独親権という単独養育の押し付けを規範として残しているのが問題ですよね。
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6/19(土) 10:01配信

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離婚はスムーズに進むものばかりではなく、トラブルに発展してしまうことが多いもの。万が一に備えて、日頃から知識を仕入れておくことが重要です。今回は、世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が、トラブルに発展しやすい「我が子との面会交流」について解説していきます。
注目集まる「共同監護・共同養育」問題

法制審議会(法務省に設置される審議会のひとつ)で、今年の3月からいよいよ共同親権の議論が始まりました。選択的にせよ、離婚後に父母双方に親権を持たせる余地がないのは、世界的にみても日本が遅れているのではないかといわれています。

親権を「双方に認めるか」という話と、別離後も「子どもの共同監護をするか」という話は厳密には違う話です。しかしながら(そんな時流もあってか)、親権はともかく、離婚や別居後の共同監護、共同養育が争点となる事案が、実際に弊所でも増えてきているように思います。

家事事件を実際に取り扱う法律事務所としては、個別の案件を離れて、共同監護や共同養育という特定の概念について是か否かを論じることは差し控えたいと思っています。

そこで、今日は概念に関する議論にかえて、子どもとの面会、監護の現場について少しだけお話ししたいと思います。
「会いたくて会いたくて仕方がない」

案件に携わっていると、離婚後非監護親(子どもと一緒に暮らさない親)の子どもに対する姿勢は、以下のいずれかに峻別されるように思います。

A:会いたくて会いたくて仕方がない。なんなら自分が引き取りたい。
B:様子がわかる程度に会いたいが高頻度である必要はない。
C:正直なところどうでもいい。会わなくてもいい。

これに対し、監護親(子どもと一緒に暮らす親)には次のパターンがあります。

a:どんどん会ってほしい。
b:会うのはいいけど一定の頻度で。
c:会わせたくない。

まずはAとa。この場合、争いにならず、うまくいくと共同監護・共同養育、またはそれに近い形が実現することがあります。特に、元々共働きの家庭で、子どもが小さい頃から交代で保育園を送迎して助け合っていたような場合、夫婦の別離後も、引き続きその継続に成功する事案を目にすることが増えました。

「面会調停」で熾烈な争いになる元夫婦の特徴は?

一方、Aとb、またはAとcではどうでしょうか。

この組み合わせは争いになりやすく、面会調停での争いはほとんどがこの形です。一方が共同監護・共同養育を望んでも、実現はなかなか難しいのが実状で、紛争が長期化したり、対立が熾烈になったりしてしまうケースが多いです。

この場合、相手が「なぜ会わせたくないのか」という原因を掘り起こすことが大切なので、話し合いには根気を持って臨むことが求められます。

そして、実はもっとも深刻なのはCとa、bの組み合わせだと思います。離婚時に非監護親が子どもから、物理的にも心理的にも離れていく様子に絶望を感じ、涙を流す親御さん(監護親)もいらっしゃいます。

面会は子どもの権利といいながら、最終的にそれを実現するのは「制度設計」ではなく「親の心」次第です。これについて私たちは解を持っていないのです。
「離婚」という局面で、夫婦関係の新たな変化は難しい

結局のところ、離婚時の子どもとの関係は、もともとの婚姻中の子どもと両親の関係、もともとの夫婦の関係から基礎付けられることが多いことがわかります。

もともとの夫婦の関係性や親子の思いが欠如していた場合には、離婚という局面で「新たな変化」を望むのは難しいことが多いのですが、もともとこれらが成り立っていれば、うまくいくことになるのです。

共同親権の議論が本格化しつつあり、共同養育、共同監護にも未だかつてない注目が集まっています。日々切実なの当事者の思いに接する弊所としては、家事事件の現場や個別の事案毎の当事者の想いが分かる方に、議論を深めていっていただきたいと思わずにはいられません。

水谷江利

世田谷用賀法律事務所弁護士

水谷 江利

3年前