この方は「月1回2時間」を家裁の相場というのは誤りと述べていますが、2018年の司法統計を見ると、この年面会交流の取り決めがあったのは13,018件で、月一回以上が5,700件で43.79%、月二回が1,003件で7.70%。週一回以上は281件で2.16%しかない。ちなみに宿泊ありの取り決めは1,092件で8.3%となっています。つまり、誤りではなく、この方の発言が家裁がまともに機能しているかのような印象を与える誤りです。
実際に家裁調停員から、「月1回2時間が相場」と言われたという当事者の話しを伺います。
こういったインターネット上の情報に騙されないようにしてください。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fb5ac252dd7e2b17364d98481c511192afd4da65?page=1
5/11(火) 8:01配信
幻冬舎ゴールドオンライン
離婚を考える上で重要なポイントは3つ、同意があるか、お金のこと、子どもとのことです。離婚時、子どもの親権や養育費について頭を悩ませる方は少なくありません。しかし、離婚届に記入するのは、父と母のどちらが親権を得るかだけです。面会や養育費などは、いつ、どのように決めればよいのでしょうか。世田谷用賀法律事務所の代表者、弁護士の水谷江利氏が解説します。
「親権」「監護権」の違いは何なのか?
現状の日本の法律では、夫婦間に未成年の子がいる場合、必ず夫婦の一方を「親権者」に定める必要があります。「共同親権」については、未だ日本は法律で認められていませんが、検討していく動きもあります。
まずは親権・監護権の違いを整理してみましょう。
【親権】
未成年の子どもを養育するとともに、その財産を管理し子どもの代理人として法律行為をする権利義務のこと。要は子どもの身の上に関することや子どもの財産をどのように使うかを決定する権利義務を指します。子ども名義の預貯金の解約や子どもを受取人とする生命保険金の受取などは、親権者でないとできません。
【監護権】
親権の中から「身上監護権(居所指定権・懲戒権・職業許可権など)」のみを取り出した権利義務のこと。いいかえれば、親が子どもの近くにいて実際に子どものお世話をする権利義務のことです。
親権者と監護権者は一致させることが一般的ですが、親権者が監護できない事情がある場合や、親権者でない方が監護権者として適当な場合は別々にすることもあります。
冒頭でも述べた通り、離婚時に離婚届に記入しなければならないのは「親権」だけで、監護権についてわざわざ記入の上で提出することはしません。
なお、離婚後の親権者の変更は、必ず家庭裁判所の調停・審判によって行う必要があります。離婚後親権を得た方が亡くなっても、当然に片方の配偶者に親権が戻るものではありません。この場合は別途親権者を定める家庭裁判所の手続が必要です。
また、親権を得たとしても、当然にその子が戸籍に入るわけではありません。子どもは、元の戸籍(多くの場合は夫)のままですので、離婚した親権者が母で旧姓に戻る場合、子どもを自分と同じ苗字に変えたければ、親権者として子の苗字を変える手続をとらないといけないのです。
「面会交流」のために親が決めておくべきこと
子どもを監護していない親が子どもに直接会ったり、それ以外の方法で交流することを「面会交流」といいます。まずは両方の親の話し合いによって、会う頻度や時間、など以下のことについて決めます。
(1)面会の頻度(月1回、2回、週末など)
(2)時間(2~3時間とする、1日とする、宿泊ありとする等)
(3)場所
(4)父母間の連絡方法
当事者間で取り決めることが難しい場合や、監護している親が応じない場合には、家庭裁判所で面会交流について調停をすることも可能です。調停でも決まらなければ最終的には家庭裁判所の判断に服する=「審判」を受けることになります。
ご相談者様から「月1回2時間が相場なんでしょう?」などと聞くこともあります。一部のインターネットサイトにそのような記載があるのかもしれませんが、家庭裁判所でそのような取り決めをする実例がありうるだけの話で、「月1回2時間」が相場というのは誤りです。離婚する二人、あるいはお子さんの事情によって、「毎週末」というご家庭もあれば、「数ヵ月に1回」というところまで、その内容はさまざまです。
面会交流については親権とは異なり、取り決めないと離婚できないというものでもありませんが、離婚後に話し合う機会を設けるのは難しいので、離婚する際に基本的なことを決めておく方がベターです。
面会は子どもの権利だが、会わせられない場合も…
面会交流=子どもの権利(画像はイメージです/PIXTA)
家庭裁判所では、面会交流は「親の権利」でなく 「子の権利」 と考え、制限すべき理由がない限り面会させるべきという考え方が主流です。
ただ、以下のような事情がある場合には、たとえ家庭裁判所でも面会交流を制限する方向になることがあります。
(1)連れ去りの危険がある場合
(2)子への虐待のおそれがある場合
(3)監護親への暴力があった場合
これ以外に制限する必要がないのか、あらゆる場合に面会させることが「是」なのかは何とも言えず、難しい問題が多いのが現実です。 とはいえ、できるだけ会わせて子の成長を知ってもらうことが、その後の進学の費用など、普段会わない親にできる限りの経済的な協力を促す効果も持つことがあります。
第三者機関を利用すると、スムーズな面会交流が可能に
いくら「子どものため」とはいえ、やっとの思いで離婚した相手と、これからも親として関係性が続くことにためらう気持ちも理解できます。「別れた相手と直接会いたくない」「なるべく連絡を取りたくない」などといった理由から、面会交流をアレンジする第三者機関を利用する事例が増えています。
面会交流の際に、ご夫婦本人に代わって連絡をとったり、面会交流への付き添い、子どもの受け渡しを行ってくれる機関です。その都度、費用は発生しますが、葛藤を抱えている親にとっては心強い味方となることがあります。地方自治体や民間の機関があるので利用してみると負担が軽減されるでしょう。
また、最近では別れても二人で子育てをする「共同養育」という考え方が浸透してきています。以前なら離婚=ひとり親、シングル家庭、と言う選択肢しかありませんでしたが、離婚後「子どもの親」として二人で育てる、家族のあり方自体が多様化しています。
どういう結果であれ、子どもにとっては2人ともが親であることは変えることはできません。子どもたちのことを第一に考えて、話を整理し進めていく必要があります。
一つとして同じ離婚はありません。インターネットの情報に流されず、ぜひ一度ご自身の個別の事情を専門家にご相談ください。
水谷江利
世田谷用賀法律事務所弁護士