福原愛の離婚、親権、不倫疑惑……台湾人の声は日本とずいぶん違った

台湾での裁判所の判断も性役割的。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5cf3d4f235d28d43ca916e109cad04a6e97fe430?page=1

5/2(日) 8:54配信

週刊SPA!

篠山紀信氏の撮影による『福原愛フォトエッセイ』台湾版(2020年1月)

 “国民的卓球少女”福原愛さん(32)と、夫で卓球元台湾代表・江宏傑さん(32)の夫婦が、いよいよ離婚に向けて動き出している。
 4月23日に台湾の『蘋果日報(アップルデイリー)』が、「江さんが裁判所に離婚を請求」と報道。これを受けて、福原さん側も「江氏が協議の場についてくれたことに感謝しています」と不思議なコメントを出した。

 3月以降、愛ちゃんの横浜お泊まりデート(女性セブン)、江さんによるモラハラ疑惑(週刊文春)、愛ちゃんがデートした相手が既婚者だった(週刊文春)など、次々と報道が出ている日本。では、台湾ではどのように受け止められているのだろうか?

 台湾在住の翻訳ライター・大野剛介さんと、一般の台湾人たちに話を聞いた。
台湾人は、福原愛にそれほど思い入れがない

「3月に不倫疑惑が発覚した当時は、テレビのニュースが頻繁に流れていました。ですが、最近では露出は少なくなったと思います。
 そもそも福原さんは、中国で活躍して、台湾人の江さんと結婚してから台湾で有名になった人です。
 なので、台湾人は福原さんを知っていても、日本人ほど思い入れがありません。大々的に報道はされましたが、興味がない人も多くいたのが現実です」(大野さん)

 と意外にもクールな反応。台湾では、不倫疑惑が報じられた愛ちゃんが批判されて、江さんが擁護されているかというと、必ずしもそうではないようだ。 

「台湾ネット上(フェイスブック上)の反応はさまざま。異国で結婚して子供を育てる福原愛さんに同情する声も多いです。
一方、江さんは福原愛さんが帰国後、フェイスブックに、愛さんの母、江さんの父母の3人の写真をアップしています。それを受けて『本当に江さんによるモラハラなんてあったのか?』といった擁護論や、逆に『女性に暴言を吐くなんて許せない』という声もあります。ですが大多数は、やや冷めた目で見ているのではないでしょうか」
日本は不倫に厳しすぎる?

 では、愛ちゃんの不倫疑惑に対する反応はどうだろうか。
 台湾では2020年まで、なんと刑法で「姦通罪」があり、不倫をした既婚男女は1年以下の懲役に処せられた。この法律は昨年廃止になったとはいえ、福原愛さんの不倫疑惑について、日本より厳しい目が注がれているのでは?

「福原さんの不倫疑惑には、台湾のSNSに批判コメントもありましたが、日本人ほど熱くなっていないと思います。『有名人の不倫に対して、台湾よりも日本や韓国の方が風当たりが強い』という報道が複数ありました。

 たとえば、不倫疑惑が出た後の聯合新聞網(3月6日)では、「為何福原愛事件日本人比台灣人還生氣? 文化不同」(福原愛事件はなぜ日本人が台湾人よりも怒っているのか?文化の違い)という記事がありました。不倫騒動への台湾ネット民の反応がそもそも薄かった、台湾人は嫁姑問題の方が興味がある、有名人の不倫は日本ほど深刻な問題ではない、などとしています」(大野さん)

「日本では有名人の不倫がバレたら生き地獄」

 一般の台湾人10人ほどに聞いてみても、テンション低めの反応が多かった。

「日本では不倫をしたら何をしても許されない、生き地獄の日々を送らないといけない。厳しすぎると思う」(30代男性)

「愛ちゃんは、幼い頃からメディアに注目されてきて、おとなしくしているのが苦手かもしれません。夫婦のことは部外者には理解できないですが、個人的にはただ哀れな子にも思えます」(40代女性)

「不倫疑惑の時に『部屋をふたつ取った』と言い訳していたので、まだ夫を愛しているのだと思ったけど、そうではなかったみたい。それどころか子供のことも愛していないかもしれない」(40代女性)

 たしかに、日本ではこの10年ほどで、有名人の不倫バッシングが激化している。内心「どうでもいい」と思っている日本人もいるが、不倫で芸能生命が終わる人が続出しているのは「生き地獄」に見えることだろう。
台湾は、共同親権や父親が親権を持つことも多い

 2人の離婚が確実になってから、「子供の親権はどちらにいくか?」が話題になっている。日本では、両親のどちらかが未成年の子の親権を持つ「単独親権」制で、母親が親権を取るのが約9割とされる。そんな中、「愛ちゃんは夫に親権まで取られてしまうかも」と、悲劇的に報じる論調が多い。

 一方、台湾では父親が親権を取ることも多く、また両親が親権を持つ「共同親権」制度がある。やや古い調査だが、2015年、台湾での離婚後の親権は、父親43.1%、母親37%、共同親権19.8%(行政院主計處、2017)。特に男の子は「一家のあととり」として、父が育てる傾向があるという。

「日本と台湾では、親権についてそもそも根本的な考え方が違います。日本は、『子供には母親が必要だ』という考え方があります。ですが、台湾では『お金があるほうが子供を養うことができる』として、父のほうが収入があれば親権を取るという、現実的な考えが一般的です。
また、女性の社会進出が日本よりずっと進んでいて、『家事・育児は母親の役目』という考え方がほとんどありませんから」(大野さん)

「江さんが親権に有利」との報道も

ただ台湾でも、離婚裁判になると大半が母親に親権がいくそうで、「愛ちゃん有利」「江さん有利」と、両方の説が報じられている。 
 ETtoday新聞雲(4月23日)は、<親権事件の9割が母親に与えられる 弁護士:しかし、江宏傑は「この理由」で勝てる可能性が高い>という記事を配信。

「台湾の弁護士が言うには、判決では『幼兒從母』=小さいうちは母親に依存しがちという原則を考慮しながらも、『最小變動』=なるべく子供の生活を変えないことも考慮しなくてはならない。子供たちは江さんの家で生活をしていて、江さん家族とも非常に打ち解けている。だから裁判では江さんが親権を勝ち取る可能性が大きいーーというのが、この弁護士の見立てでした。
 また、福原さんが日本にいて子供の面倒を見ていないことも、江さんに有利に働くと報じたところもありました」(大野さん)
家族観の違いも浮き彫りに

 台湾の一般人に聞くと、
「お金と時間を確保できる方の親が親権を持つのが当たり前」(40代女性)

「現実的に愛ちゃんのほうがお金を持っているのだから、彼女が親権を勝ち取ることもあると思う」(40代女性)

「親友は両親が離婚して父親に育てられているけど、日本に留学させてもらったり、親のベンツを借りたりと恵まれた暮らしをしているので、可哀想という意識は全くない」(20代男性)

「江さんは愛ちゃんの母親の面倒もみていたんだし、子どもの親権は彼にあってほしいと思う」(40代女性)

 もしかすると、「愛さんは、絶対に親権をとりたいと思っているはず」という感覚も、日本的な思い込みにすぎないかもしれない。
 日本と台湾、双方の感じ方は、結婚観や家族観の違いも浮き彫りにしているかのようだ。

<文/日刊SPA!取材班>

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