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社会・くらし
2021年2月17日 17:43
離婚すると父母の一方しか子どもの親権が持てない「単独親権」制度は憲法に違反するとして、東京都の40代の男性会社員が国に165万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は17日、請求を棄却した。同制度について「合理性が認められ、違憲とは言えない」とし、合憲との判断を示した。
松本真裁判長は、単独親権を定めた民法の規定は離婚した父母が通常別居し、関係が必ずしも良好でないことが前提で「子どもの監護や教育について適時に適切な判断ができるようにする目的がある」と指摘した。
その上で「子の利益を損なう事態を避けるため、父母のうち、より適格な者を親権者に指定する規定に合理性はある」と判断した。
男性は、単独親権について「幸福追求権や法の下の平等に反する」と主張。離婚後も父母が共に親権を持つ「共同親権」制度を創設しないのは立法不作為だと訴えたが、判決は「共同親権を認めるか否かは、国会の合理的な裁量権の行使に委ねるべきだ」と退けた。
判決によると、男性は離婚訴訟で敗訴が確定し、元妻との間の子ども2人の親権を失った。
男性の代理人は、単独親権に関する同様の訴訟は複数あり、判決は初めてとしている。
親権制度を巡っては海外主要国の多くが共同親権を認めており、上川陽子法相は10日、家族法制の見直しなどを法制審議会に諮問した。養育費の確保策と並び、共同親権も論点の一つとなる見通しだが、父母の対立が続く場合、子が混乱して不安定になる、と懸念する声も根強くある。〔共同〕
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