移住してわかった!フランス女性が「婚活」をしない5つの理由

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12/27(日) 19:02配信

コスモポリタン

「婚活」という言葉が当たり前のように浸透している日本。「結婚するためには活動が必要」という日本社会の常識は、欧米の人々からすると不思議に思うかもしれません。 

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自身も30代に日本で「婚活」を経験し、活動しながらもなんとなく心に違和感を抱いていた筆者が、ところ変わればあら不思議。そんな概念もプレッシャーも存在せず、生きるのがとても楽になりました。

本記事では、情熱的な「アムール(愛)の国」として知られつつも、「婚活」という概念が存在しない国、フランスの革新的な結婚制度や人々の結婚観に迫ります。
結婚することだけが「幸せ」ではない

時代とともに変わってきてはいるものの、「結婚して家庭を持ってこそ一人前」という考えが一部では今も残っている日本。

異性と結婚して、家庭を持つことが一般的に“理想的な生き方”とされ、結婚相談所やお見合いの制度があり、「婚活」という言葉で結婚が“目的化”されていることに、多くのフランス人が驚きます。

また、長く付き合ってきた果ての“けじめ”として結婚する――そういった考えもフランスにはありません。結婚が目的ではなく、お互い好きだから一緒に住む。そのまま関係がうまくいけば自然と子どもを産んで、それから結婚するという選択をする人も少なくありません。

人生において恋愛は不可欠だけど、必ずしも法律上の“結婚”という形で契約を交わす必要はない、結婚することだけが幸せな生き方ではない、と考えるフランス人は多く、パートナーシップや家族のあり方も多様化しています。
結婚しても「豊か」になれない?

日本でも女性の社会進出が進んではいるものの、私がまだ日本に住んでいた頃は、やはり「家族は男が養うもの」という考えが根強い印象がありました。また、結婚相手の条件として経済力を重視し、「結婚」に期待する生活水準が高い女性の存在も見受けられました。

一方、フランスは日本と比べ物価も生活費も高い割に、平均年収は低く、共働きしてやっと普通の生活ができる社会なので、家庭を持っても働く人がほとんど。女性にも経済的な自立が求められます。

結婚後の資産はきっちり折半、生活費も老後の資金も全て折半になるので、夫の収入で暮らす、または養ってもらうという感覚もありません。フランス人女性にとって結婚は自分を楽にしてくれるものでも、経済的に豊かにしてくれるものでもないようです。

周囲からの結婚へのプレッシャーがない

「結婚は?」「彼氏はいないの?」「婚活してる?」。日本の女性たちは、周囲からのこうした言葉によって、とてつもないプレッシャーにさらされているような気がします。周囲からのプレッシャーで、なんとなく「婚活しなきゃ!」という、強迫観念にも似た気持ちになる――私もかつてはそうでした。

一方、個人主義のフランスでは、結婚歴・離婚歴・子どもの有無によってその人への見方が変わったりはせず、表面上のことはあまり気にしない傾向があります。未婚であることで肩身が狭くなることはなく、「結婚適齢期」のようなものも存在しないので、焦りもありません。

また、日本に比べ離婚率が高いこともあり、離婚や再婚、ステップファミリーを身をもって経験してきた親たちは、自分の子どもたちに「結婚しなさい」とは言いにくいのかもしれません。
パートナーシップの形が選べる

先進的かつ柔軟な結婚制度で世界をリードするフランス。法的な結婚をしなくても、税制上で結婚とほぼ同等の法的優遇が受けられる事実婚制度「PACS(パックス)」が定着しています。

また、とりあえず同棲をする、法的契約のない事実婚「ユニオン・リーブル」で一生を過ごすカップルも。膨大な書類を必要とし、それを解消(つまり離婚)するとなるとさらに労力も時間もかかる「結婚」以外にも、パートナーと共に自分たちに合ったスタイルで共同生活を送れる選択肢がたくさんあるのです。
結婚前に子どもを作るのは当たり前?

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「子どもが欲しいなら結婚しなければ…」といった声も多く聞かれる日本。たしかに結婚せずして子どもを持ち、シングルマザーとして生きる場合、経済的にも精神的にも女性には大きな負担がかかります。

一方フランスでは、離別や離婚をしても共同親権となるため、育児の義務を平等に共有しますし、政府の子育て支援も手厚く、学費も公立なら幼稚園から大学まで基本無料。ひとり親でも子どもが犠牲にならない社会的な仕組みが整っているのです。

こうした恵まれた環境のためか、カップルが結婚をせずに子どもを持ったり、子どもがいても離婚を我慢しないのは当然の現象。最近ではPACSや婚姻関係を結ぶ前にまず子どもを持つ、というカップルが年々増加しているようです。

自分の人生を追求する生き方ができ、それをサポートする社会制度が整っている、という点で生きやすいフランスという国。

「婚活」や「適齢期」といったソーシャルプレッシャーにモヤモヤすることなく、自分らしい人生の選択ができる…日本もそんな風に、女性たちがもっと柔軟に生きられる社会になることを願ってやみません。

TOMOKO NOURRY

4年前