【共同養育支援論争リバイバル】別居親は「親子断絶防止法」に反対です

2017年5月18日
別居親は「親子断絶防止法」に反対です

国会議員各位
宗像充(共同親権運動ネットワーク運営委員、
『子どもに会いたい親のためのハンドブック』著者)

私は子どもと引き離された親の一人で、娘二人と7年間面会交流を継続してきました。その間、別居親子の再会のための当事者支援の活動を続け、発行した『子どもに会いたい親のためのハンドブック』は、別居親のための現在唯一のハンドブックとなっています。
同時に、2008年から離婚後の共同養育の障害となる法律の改正、わけても離婚・未婚時の単独親権制度の撤廃の運動に取り組んできました。今国会での成立が目指されている、通称「親子断絶防止法」については、私どもの全国組織は立法活動に加わっていません。昨年12月に法案が公表されて以降、この法案はむしろ親子引き離しに悩んでいる当事者にためにならないことを懸念し、反対を表明してきました。
議員の皆様におかれましては、この法案はいったん白紙にしていただきたいと希望し、ご連絡差し上げました。この法案は、本来目指された親子断絶防止、子どもの奪い合い紛争の解決のためのものではなく、むしろそれら問題を長期化させます。以下が法案の欠陥です。

1 親子断絶の明文化によって不当な行政措置が正当化される

法案は、両親との交流を明記した理念法とされる一方で、9条においてDVや虐待の際には、親子断絶も含めた例外措置を明文化している。このような規定は、「DV夫に子どもを会わせるのか」という感情的な反発に対応したものと考えられる。しかし、裁判所の判断は子どもを確保したほうに親権を渡すのみであり、一方で、子どもと引き離された多くの親が、家庭裁判所においてDVやモラハラなどを主張される現状がある。
現在、子どもを連れ去った親が一方的なDVの主張をし、連れ去られた側は異論も唱えられないままに、行政や警察が介入してそのまま子どもと引き離されている。そのことがさらに、先手必勝である親による子の連れ去り行為を促してきた。立法行為によってそれが正当化されれば、今後子の連れ去り行為、それに起因する親子断絶は加速することになる。例外措置の広範な解釈を可能とする明文化により、現在当事者間で任意に実施されている共同養育の努力が損なわれる。

2 子どもに苦痛を強いる

法案は2条2項において、子の年齢、成長に応じて、子の意思を表明する機会を保障することを促している。一方で親による子の連れ去り行為(そのものは現状でも誘拐罪の対象である)は立件されないため、子どもは親への思慕の念を表明することが事実上できなくなる。その上での聞き取りは尋問にほかならず、親を諦めさせることを子どもに強いる。これは子どもの意見の尊重ではなく、子どもの権利侵害にほかならない。
私の娘は、私と会ったときにいちご狩りに行きたい、と希望したため、私は元妻に対して現行の隔月4時間の交流時間の拡充を求めた。ところが元妻の代理人は直接子どもに尋問し、子どもを恫喝して「行きたくない」と言わせた。裁判所でも、このような行為は、親子断絶を弁護士が企図する場合の常とう手段であり、新しい根拠法の存在は、このような尋問を促し、親と引き離された子どもたちに苦痛を与え続けることになる。

3 法案は暴力を作り出す
~「面会交流殺人」の背景

法案は現行のDVや虐待時の引き離し行為における適正な手続きの欠如を容認する。このような手続きの不在は、緊急避難を名目に黙認されてきた。特にDVの場合には、女性のみが被害を申し出て行政の支援措置の対象となるため、男性の暴力被害は放置された上で子と引き離される。同時に女性のDV被害者であっても、別居親である限りにおいては、女性相談の支援対象から外される。
結局法案は、女性であり、先に子を連れ去る者の感情に基づき、他方の親の養育権を無制限にはく奪するのが目的となっている。そして暴力の加害者としての認定を受けたくないのであれば、子を連れ去るように親を促す。
昨今「面会交流殺人」として報道される事件の背景に、一方的に加害者とされ、子との交流を制約された親による暴力や自死があるとしたら、本法案はむしろ暴力を誘発させ当事者間の安全を損なう原因となる。
DVや虐待の場合であっても親であることに変わりはなく、法益均衡の観点から、その権利義務を、行政の一方的な判断で解除することは本来できない。そのことによって別居親の立法活動が促されたとするなら、現在その成立が目指されている法案の成立は、多くの分離親子を生み出す社会問題を今後むしろ悪化させることになる。

4 税金の無駄

この法律に基づいて支援や啓発がなされる条文もあるが、あえて断絶を作り出した上で「親子交流」の支援に予算を投じること自体、税金の無駄である。
本来、親権を奪った親から養育費を取ること自体も、法的な根拠が不明な行為である。親子断絶防止は、他方の親の養育妨害行為を排除できるだけの十分な養育時間が保障され、子どもを会わせない親から養育者を変更するよう裁判所が柔軟に対処すればすむ。また、現行法においても、親である以上、一方的な行政の措置によって親としての地位が損なわれないよう、離婚後も双方の親の登録措置がなされることは十分にできる。
そのことを前提にして、違法な実子誘拐を規制し、養育計画のもとに親どうしの協力関係が促され、共同親権を実体化する法整備と支援がなされるべきである。ところが、断絶規定を明文化した今回の法案は、現状の連れ去り、引き離し行為の根拠を明文化し、それら行為を永続・強化させる「親子断絶促進法」が実態である。

あまりにも議論が雑駁すぎ、このような法律は子の親として許せません。反対して下さい。

6か月前