若者には自民党がリベラル

https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/20200921-00199332/

田中俊英 | 一般社団法人officeドーナツトーク代表
9/21(月) 12:53

■ 大阪でオレンジパレード

今日9月21日の午後、大阪でオレンジパレードという共同親権をアピールする集まりがある(第3回ウォーキングフェス『オレンジパレードin大阪・御堂筋』開催決定)。

この集まりは今回で3回目で、2回目までは東京開催だったが、今日が初の地方開催で、場所は大阪で行なわれる。

当欄で繰り返し取り上げてきた共同親権を主張する集まりであり、別居親中心にこれまで200名前後の人々が集まり、共同養育・親権をアピールしてきた。

今月は内閣改造に伴い法務大臣も共同親権に理解があると言われる方(上川法相)に交代したこともあり、参加者のボルテージは上がっていることだろう。

この機会を捉えて共同親権化を押し進めようという記事も見られる(新法務大臣・上川氏は、親子引き離し当事者の声に答えられるか)。

そして、Twitterで#オレンジパレードを検索してしていただければ、同パレード参加者の熱いツイートとすぐに遭遇できる。

■ 単独親権システムの人々にとっては当たり前ではない

だがしかし、当欄や共同親権ものの記事にご関心ある方ならすぐに思い浮かべる通り、共同親権導入には大きな壁が立ち塞いでいる。

それは法務省や国会などの中枢権力機構ではなく、「単独親権」を支持する、弁護士・裁判所・ジャーナリズム・アカデミズム・NPO等で組織される、いわば「単独親権システム」と言ってもいい人々だ。

DV支援から始まり、その被害者を救済・支援するために20年前頃から徐々に組織化されてきたそうした単独親権システムの堅さについては、これまた当欄でも度々触れてきた(〈母権優先-昭和フェミニズム-単独親権司法〉権力ほか)。

その連合体システムの旧弊さについては、子どもの「連れ去り/拉致」をテーマに『月刊Hanada』でこのような記事にもなり、拉致システムに組み入れられる組織・個人と単独親権システムを維持する人々はほぼ重なることも、実名で指摘した同記事により推察することができる(  「実子誘拐ビジネス」の闇 人権派弁護士らのあくどい手口)。

たとえば共同親権という、親や子にとっての普遍的価値(親からも子からもそれぞれがかけがえのない存在であり、その存在との交流は人間にとっての基本的価値/人権)、そして僕にとっても当たり前と思えるこのような価値が、DV支援を中心とする単独親権システムの人々にとっては当たり前ではない。

■ 20代「自民党こそリベラルで革新的」

それは、単独親権システムが「古いリベラル」という思想を背景にしていることを考慮する必要がある。

古いリベラルは、「新しいリベラル」との対比の中で語ることができる。

新しいリベラルは安倍政権以降の自民党を特に指すもので、具体的にはアベノミクス等の経済政策が若者に訴えた結果生じた概念だという(「自民党こそリベラルで革新的」20代の「保守・リベラル」観はこんなに変わってきている)。3年前の調査ではあるが、各種調査でも若者ほど「保守化」している傾向が出ているそうだから、今も通用すると思う。

この新しいリベラルと対比して、同記事ではこんな表現がある。

読売新聞社と早稲田大学現代政治経済研究所が2017年7月3日~8月7日に共同で行った調査結果によると、40代以下は自民党と日本維新の会を「リベラル」な政党だと捉えており、共産党や公明党を「保守的」な政党だと捉えているという。

特に、若い世代ほど自民党を「リベラル」だと感じる傾向が強く、18~29歳が唯一民進党よりも自民党の方を「リベラル」だと見ている。

出典:「自民党こそリベラルで革新的」20代の「保守・リベラル」観はこんなに変わってきている

また、今年1月の調査に伴い、このような考察を行なっている。

50代で「イデオロギーの断層」があるという調査結果が2018年に発表されました。若者の中では、改憲や大阪都構想、行政改革に力を入れている日本維新の会は「革新的=リベラル」、反原発や護憲の立場をとっている共産党は「保守的」というイメージを持っている人も少なくありません。

出典:いつの間に逆転?自民・維新はリベラル!?共産は保守なの!?|2020年1月電話・ネットの意識調査

ここで引用される日本維新の会に自民党を加えても支障はないだろう。また、共産党に加えて立憲民主党などを加えても問題ないと僕は考える。

■ ねじれの解消を

どうやら、若者を中心とした新しい世論は、従来保守政党と言われてきた自民党を「リベラル」だと捉えている。逆に、従来リベラルだと言われてきた野党勢力を「保守」だと捉えている。

たとえば親権問題ひとつとっても、マイノリティの最大勢力である「女性」にこだわる従来リベラル=古いリベラルは、女性差別という1つの差別を変革する時、社会内の他の当事者(子どもや別居親)を無視してしまう。そうしないと、自分たちの問題(女性差別)が曖昧になるからだ。

女性だけに光を当て、その結果、より当事者性の強い「子ども」を潜在化させる。

DV支援だけにこだわるあまり、「虚偽DV」を捏造し「子どもの拉致」を実行する。そして、子どもと別居親を潜在化させサバルタン化(真の当事者化)させる。

はじめに書いた通り、今日は共同親権をアピールする「オレンジパレード」の3回目が大阪である。けれども、この画期的な当事者運動は、「『リベラル』のねじれ」により、マスコミベースにはなかなか乗らない(マスコミは「古いリベラル」の代表でもある)。

けれども、以上に書いたように、リベラル勢力のマークと言ってもいい「基本的人権」の捉え方の揺らぎにまで、古いリベラルは影響を与える。

その揺らぎを明確化させ、「リベラル」の意味の統一とねじれの解消も求められている。

4年前