ZOZO前澤の新会社に見る「養育費未払い」のあまりに過酷な現実とは

このビジネスが子どものお金を着服することは問題です。

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フォロワーに、診断をしたカップルに、シングルマザーにと次々とお金配りをしているZOZOの前澤友作さん。

売名行為だなど批判もありますが、最近立ち上げた「株式会社小さな一歩」には養育費を受け取ることができない多くのシングルマザーが期待を寄せています。

この件で、マネー相談を受けるFPとして、そして一人のシングルマザーとして、私は前澤さんを大きく評価しています。

なぜなら、彼はただお金を配るだけでなく、当然の権利である養育費を受け取ることができる社会になるよう動き出したからです。

彼は日本の現状にどんな光をもたらすのでしょうか?

 

知られざる現実。シングルマザーの年間就労収入は200万円

一人で働きながら家事をこなし、子どもを育てるのは並大抵のことではありません。

 

自分の都合で離婚したんでしょ? どうせ片親だから子どものしつけもできてないわよね? など根拠のない偏見に耐え、必死にがんばっています。

 

何気ない、でも心無いママ友の一言に泣いたというマネー相談のお客様の声は少なくありません。

 

母子世帯の母の年間就労収入を見ると、400万円以上はわずか9.2%。平均は200万円、1ヶ月あたり16.6万円です。

 

このほか、ひとり親家庭には児童扶養手当があり、子ども1人なら1ヶ月約4万2000円、兄弟姉妹がいれば子ども1人につき約1万円がプラスで支給されます(収入、年度により金額は変わります)。

 

とはいえ、約20万は親子で暮らしていくには本当にギリギリ。ですので、離婚した父から養育費を受け取ることができるかどうかは生活に大きな影響があります。

 

だが、母子世帯の半数以上が一度も養育費を受けたことがない

ところが、離婚時に42.9%が養育費の取り決めをしているにもかかわらず、母子世帯の56.5%が養育費を受けたことがないと答えています。

 

現在も養育費を受けているのは24.5%。母子世帯の4分の1しか養育費を受け取っておらず、半数以上が一度も養育費を受け取ったことがないのです。

 

4割以上が養育費の取り決めをしているのに、5割以上が一度ももらっていないという現状。

 

面会交流ができないから養育費を出したくない、離婚相手にお金を渡したくない、今の生活からお金を出すことができない、どうせ自分のことなど父親だと思っていないだろうなど理由があるかもしれません。でも、それは言い訳にすぎません。養育費は、将来がある大切な子どもの権利なのです。

 

実例を3つ挙げましょう。「よくある話」です

私がFPとして相談を受けた話や、周囲で起きた話で、直近の例をお話しましょう。

 

1・養育費が振り込まれなくなった

離婚して1年くらいは振り込まれていたけれど、元夫に彼女ができてから振り込まれなくなりました。

 

2・そもそも払う気がない

上場企業勤務で社内恋愛結婚し、専業主婦になることを望まれて寿退社、その後も不自由のない暮らしをしていました。

 

が、「誰のおかげで生活できているんだ?」というモラハラに耐え兼ね、独身時代の内緒の貯金200万円だけを持って2人の子連れで離婚しました。

 

5年も仕事をしていなかったので不安でしたが、努力が認められ、派遣社員から正社員に抜擢され年収500万になりました。いまでは子どもと3人で楽しい生活を送っています。

 

3・お金があっても支払わない

殴る蹴る夫のDVに耐えかねて別居。平謝りされたのでもう一度同居しましたが、暴力は止まらず、上の子が中学に入学したタイミングで離婚しました。元夫は一流会社勤務ですが、養育費は一度も払われたことがありません。

 

幸い手に職があったので、さらに副業もしながら、子ども2人は私立一貫校から国立大に進学させました。ちなみに、元夫はその後も再婚相手とDVで揉めているそうです。

 

DVは心をいれかえれば直るようなものではなく、まばたきや心拍と同じその人の身体の動きです。お金の心配があると踏ん切りをつけるのが難しいかもしれませんが、我慢するだけ無駄。死力を振り絞って離れたほうがいいと感じます。

 

前澤氏の新事業「株式会社小さな一歩」がこの問題に斬り込んだ

そんな話を聞くと、「なぜ養育費を受け取らないの?」と思う人も多いでしょう。問題は、養育費の強制執行、つまり給与差し押さえを手配するのはシングルマザー自身だという点でした。

 

考えてもみてください、そもそも離婚で精根尽き果てた上、日々忙しく働きながら一人で子育てをしていれば、そのような回収手続きをする時間は気力は残っていません。それなら、その分稼いでやると奮起している女性がいかに多いことか。

 

そこに登場したのが、お金配りや月旅行でSNSを賑わせている前澤さんの「養育費あんしん受取りサービス」の会社「株式会社小さな一歩」です。

 

どういう流れで養育費を受け取れるようになるのか?

この「株式会社小さな一歩」は、養育費という債権の履行を手伝う会社です。

 

サイト上には『本サービスは、弁護士と相談者をマッチングするサービスではなく、元パートナーに代わってあなたに養育費をお支払いする「保証サービス」です』とあります。

 

自分で交渉や取り立てをする必要はなく、月々支払いの場合は15%、1年分を支払う一括払いなら25%の手数料を差し引いて振り込んでくれます。

 

サイト上には、「書面や取り決めのあるなしに関係なく、安心して養育費を受け取れるようにする」と書かれています。この一文が、元パートナーに暴力を受けた、どうせもらえないとあきらめていた女性たちにとって、とても大きな希望となっているのです。

 

受け取りの流れは、養育費の取り決め等により、おおまかにこのようになっています。

 

パターン1「養育費を受け取れていても支払いが安定しない」

支払いの遅れが発生しないよう、決められた日に必ず養育費を振込み。

 

パターン2「養育費を受け取れているが額が少ない」

額が少ない場合は、株式会社小さなの協力弁護士が元パートナーに交渉し、受け取るべき適正な金額の養育費を受け取れるようにする。

 

パターン3「書面での取り決めがある」

書面(公正証書など)を撮影して申込時に送信すれば、記載されている通りの養育費をいったん支払う。

 

パターン4「書面での取り決めがない」

申込み後郵送で確認書一式が送られ、必要な書類に記入・捺印し返送。

→協力弁護士から元パートナーに連絡
→元パートナーの現在の就労状況や収入などを判断した上で、元パートナーの合意のうえ「養育費お支払いプラン」を作成
→依頼主が確認し、その内容を承諾
→公正証書を弁護士が無償で作成
→保証契約がスタートし、養育費の入金開始

 

取り決めがある1~3の場合、書類の到着日から3〜7日程度で入金。

取り決めがない4の場合は1ヶ月ほどで最初の支払いがスタートするとあります。

 

世の養育費しらばっくれ男よ!首を洗って待つのだ

少々わかりにくいのですが、ポイントは、「小さな一歩」が「取り立てる前に、先にお金を建て替えて払ってくれる」点にあります

 

養育費を「小さな一歩」が後から回収するので、妥当な金額の取り決めがあればその額を、取り決めがなければそれを相手方と交渉してくれて、相手方からもらう前から建て替えて振り込んでくれます。ただし15%手数料はもらいますよ、というものです。

 

離婚して養育費を支払わずのうのうと生活している男性達のもとに、「株式会社小さな一歩」から連絡が来る日も近いことでしょう。かわいい子どもたちのためにどうぞ養育費を払ってください。

 

養育費をあきらめてがんばっているシングルマザーさん、扉を開くため、ドアをノックしてみましょう。10分あればネットで申し込みができます。頑張っている女性たちに明るい光が沢山降りそそぎますように。

 

参照:平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告(厚生労働省)

稲村優貴子
ファイナンシャルプランナー(CFP)、心理カウンセラー、ジュニア野菜ソムリエ
大手損害保険会社に事務職で入社後、お客様に直接会って人生にかかわるお金のサポートをする仕事がしたいとの想いから2002年にFP資格を取得し、独立。現在FP For You代表として相談・講演・執筆活動を行っている。日経ウーマン、北海道新聞などへの記事提供、テレビへの取材協力など各メディアでも活躍中。著書『年収の2割が勝手に貯まる家計整え術』河出書房新社。趣味は、旅行・ホットヨガ・食べ歩き・お得情報収集。FP Cafe登録パートナー。

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