ダンの子育て日記第5回 連れ去りを許す一方的な法律

ダンさんは、共同親権ニュースドットコムに、片親親権であまり人に共有されない悩みをレポートします。その5回目です。

子どもとは月に2度会っている状況ですが、現在の社会の側の偏見の中、さまざまに親子関係で気になる点があります。今回は、6年前に子どもを連れ去られてからの裁判所の調停でのやり取りです。

連れ去りを許す一方的な法律

 

連れ去られてから6年が経ちました。

 

連れ去られたのは子供が小学校1年の7月の事です。私は飲食店を経営したおり、いつも通り仕事が終わり24時過ぎに帰宅すると家の中はもぬけの殻。テーブルには相手方(母親)弁護士から次のような手紙が置いてありました。

 

・これからの調停の事

・母親への連絡は代理人を通じて行うこと。直接の連絡はしないことなど。

・母親からの手紙

 

翌日、小学校を尋ねると転校届は出ておらず、担任の先生に前日の状況を話しました。先生は母親からは何も聞いていないとのことでした。先生から、昨日の授業で夏休みになったら何をするか絵日記を描いたと聞きました。絵日記には、子供とおばあちゃんと私がボートに乗っている絵が描いてあり、文章は「なつやすみに、おばあちゃんちにいってぼーとにのるのがたのしみ。」とありました。先生から「2人で帰省の予定だったんですか。楽しみにしていたでしょうね」と。

「今年の正月、帰省帰りに『また夏に遊びに来るね』と約束してバイバイしてましたから、楽しみにして絵日記を描いたんだと思います・・・。」と伝えた。帰り際に先生から「お子さんが一番ショックを受けています。お子さんの事を考えてあげてください。」と言われました。

 

7月末から調停開始。

 

弁護士の先生から『準備するもの』について話がありました。

「母子手帳、保育園との連絡帳、小学校との連絡帳等保育に関する記載、メモなどはありますか?」と聞かれ、「全部持っていかれました。」と伝えると、「育児をした証明はないのですね」と。「それでは無理です。勝てません。調停では、母親が全面的に育児をしていたと言われてしまいます。」と。

そこから、子供との思い出、子供との時間をなんとか形にするという作業がはじまりました。

子供との外出に関しては、3歳までの資料は連れ去り時に持っていかれてしまったため、殆ど残っていませんでしたが、 4歳から6歳(小学校1年7月で連れ去り)までの資料は手元に残っていました。

これらの資料、領収書、写真、ETC(車で出かけた履歴)などを元にまとめました。

今までの生活の中で、仕事柄私の休みは多くはありませんがその殆どすべてを子供と2人(稀に母親も同行)で外出したり、旅行に出かけたりしていました。習い事の付き添いも母親ではなくほぼ私でした。記憶と手元に残った資料を頼りに、下記のような資料を作成し、調停、その後の裁判にのぞみました。

 

・年表:生まれてからこれまでの年表(子供の習い事などへの付き添い、子供との外出、旅行の全記録。一緒に買い物へ行ったことなど、どんな些細なことも書き起こしました。)

・子供とのエピソード集:生まれてから今までの子供とのエピソードを写真入りで時系列でまとめた絵日記のようなもの。外出や旅行の時だけでなく、普段の生活も含め、自分の気持ちなども記しました。

・陳謝書:今まで子供と一緒にお世話になった方々にお願いしました。保育園時代からの子供の友達の父兄、習い事の先生、他数名。

 

【調停開始】(2015/7)

 

審判前の保全処分申立(2015/9)・子の引渡し・仮監護者指定調停(2015/9)

婚姻費用分担調停・夫婦関係調整(離婚)調停(2015/9)・申し立て・面会交流を見ての経過観察

*一方的連れ去りの為、子の引き戻し請求するも却下、現状維持で母親(連れ去り側)が仮監護者に指定。

 

面会交流開始(2015/10)・監護者指定の調停(2016/1)

 

【離婚裁判・子育の親権裁判開始】(2016/7)

 

夫婦関係調整(離婚)調停不成立(2016/9)

 

調査官調査・申し立て・面会交流を見ての経過観察

*調査官調査の報告にて裁判所が親権を決める事が多いと聞きました。

 

【離婚成立・親権決定】(2018/12)

 

裁判所より和解に対しての聞き取り・裁判所より和解案提示

和解成立(離婚・親権)

*私のように裁判所が面会交流の和解内容に要望を組み込んでくれるのは珍しいと聞きました。

 

2015年から2018年まで、調停・裁判、全ての期日に出廷しました。その上で知ったこと、思った事などを記しておきたいと思います。今振り返れば仮監護者指定が後の親権獲得へのポイントであったような気がします。

 

  • 仮監護者を決める調停において、連れ去りは違法、犯罪であると裁判所が判断し、連れ去られた子供を元の生活に戻し、改めて裁判を行うという事はなく、一方的解釈によって連れ去りが合法となっています。私の場合、裁判官主文は「相手方(母親)は申立人(父親)と相手方が同居している状態から子を連れて家を出たにすぎず、違法な連れ去りとはいえず、相手方(母親)が未成年を連れて別居したことをもって、直ちに未成年を従前の環境に戻すべきであるということはできない。」というものでした。
  • 連れ去りであったとしても、幼い子供が母親と暮らす事は、母親のきめ細やかさ、気遣いなどを理由に正当化される。
  • 母親の提出書類には、改めて用意された資料-子供について・子育てについての記録などはなく、母子手帳、保育園・小学校時代の連絡帳のみ。対する父親(私)は日々の記録を膨大な調停・裁判資料として提出しても裁判所の判断は揺るぎませんでした。本気で読んでくれているのか。父親が育てる事への偏見による不平等さが垣間見えます。
  • 監護者決定までは連れ去った側は、連れ去り返される可能性を考えて一部の人しか知らない場所で子供を保護する様です。私の場合は、小学校やまわりからの情報が滞り、居場所の特定が困難になる夏休みに行ったのではないでしょうか。
  • 監護者決定後、連れ去られた側が子供を連れ戻そうとすると犯罪になってしまう。

 

裁判官主文には「直ちに(仮監護中)未成年者を申し立て人に引き渡すべき必要性があるといえない」「なお、相手方(母親)は申し立て人による連れ去りの危険を危惧する」とあった。※仮監護中の連れ戻しは犯罪にならない。

 

  • 仮監護者・監護者指定を決める調停は、あまりにも形式的で簡略過ぎると思いました。
  • 調停・裁判を始める前から、当方・相手方両弁護士・裁判所の誰からも、連れ去り側絶対有利の空気を感じた。
4年前