面会交流支援団体と学者が、どうやって子どもと別居親を搾取できるか知恵を絞っているどこかの国とはちょっと違うようです。
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イラスト◎大塚砂織
◆金銭的事情でわが子に会えない親を援助 ドイツでは3組に1組の夫婦が離婚し、240万人の未成年の子どもがひとり親家庭で育っている。これは子どものいる家庭の約2割に相当し、20年前より5%増加している。
離婚しても共同親権を持つのが一般的なドイツ。最近は子どもが父母双方のもとを半々に行き来するパターンも増えているが、それでもどちらかの親もとに住むことが多い。子どもと500キロ以上離れて暮らす親は5000人以上いるといわれる。愛があっても交通費や宿泊代などの金銭的事情で会いに行けず苦しむ親は多いのだ。
そのような親たちをサポートするために作られた団体が、「私のパパがやってくる」である。父親だけでなく母親も対象としているが、父親が会いに行くケースが大半のため、この名称になっている。
この団体は2008年にミュンヘンの女性教師が創設した。きっかけは生徒から「僕のパパは会いに来るとき、車に泊まる。だから夏しか来られない」と聞いたこと。宿泊代節約のため車中泊をしているパパに胸を痛める生徒を見て、親子が会うための場所を作れないかと考えるうち、このような親がたくさんいることに気づいた。現在では公的な団体として、寄付と会費で運営している。
親は月会費(2000~3000円程度)を払って会員になると、子どもに会いに行く際、無料で宿泊場所を確保でき、専門家に子育てについて相談することもできる。また、会の趣旨に賛同した約800人のサポーターが、親子が遊んだり泊まれたりする空き部屋などのスペースを無償で提供している。私の知り合いにも、すでに何組かの親子に部屋を提供した人がいる。
いつもは離れて暮らす親子が、久しぶりに水入らずで過ごす姿はまぶしいほどだという。
ドイツでは、ひとり親もパッチワークファミリー(子どもを持つ親が再婚して新たな家庭を築くこと)も珍しくない。シングルになっても収入の不足分は国が補するため経済的に安定しており、悲愴感はない。それでも子どもは父母の両方に会いたいもの。
「私のパパがやってくる」の活動は、さまざまな親子の形を支援したいと思う人の多さを表しており、ドイツ社会の底力を感じる。(ハノーファー在住・田口理穂)
田口理穂