法務大臣閣議後記者会見の概要 令和2年7月14日(火)「子を取り返すための法的手続がないなどといった誤解」

http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho08_00102.html

欧州議会本会議における決議に関する質疑について

【記者】
先週のEUのハーグ条約に関する決議案についてです。先週も御発言いただいたのですが,EUとの認識の違いがある現状をどう受け止めていらっしゃるのかと,今後,どのように日本の姿勢について理解を得ていくおつもりか,決議の中でEU側が国内の子の連れ去りについても対応してくれということで,共同親権にも言及されています。今現在の共同親権をめぐる検討状況も併せてお願いします。【大臣】
お尋ねの子の連れ去りというのは,国外,国を越えての問題であると認識していますが,これについては外務省と関係機関で連携して対応しているところです。前回も述べましたが,父母が別居している,国をまたいで一方が子を帯同して別の住居に移るというときに連れ去りということが指摘され,それに関して様々な御意見が海外においてあります。そして,それに関する我が国の家族制度について,EUの総会の決議に示されているものも含めて様々な御意見があるとも承知しています。
もっとも,その中には,例えば,我が国において,父母の一方が無断で子を連れて,相手に言わずに別居をした場合に,子を取り返すための法的手続がないなどといった誤解も散見されます。
これについては,我が国の法的手続について正確な理解をしていただくことが重要であると思っています。また,法が改正されて今年施行されているものもございますが,そういった新しい法制度についても海外の方に正確な理解をしていただくということが重要かと思っておりまして,それを引き続き丁寧に行うという努力をし,そもそもこのような誤解等が生じないように,外務省と連携し,より積極的な周知等にも努めてまいりたいと思います。
その上で,国内の共同親権の制度についても御質問がありました。父母が離婚した場合の共同親権,現在は単独親権ですが,離婚後共同親権制度の導入の是非を含め,我が国でも様々な意見があり,現在,法務省の担当者も参加している家族法研究会では,これらの意見も参考にしながら検討がされているものと承知しております。
私も法務省の担当者に対して積極的に検討に参加していくよう指示をしているところです。離婚に伴う子の連れ去りや親権制度をどうするかという問題は複雑ですが,私は,子の利益が最優先だと申し上げておりまして,その観点から様々な御意見に耳を傾けながら,検討を進めてまいりたいと思います。

4年前