東京都大田区蒲田のマンションで先月、3歳女児が室内に放置されて死亡する事件があり、警視庁は7日、母親の居酒屋店員、梯(かけはし)沙希容疑者(24)を保護責任者遺棄致死容疑で逮捕した。梯容疑者は女児を自宅に残したまま8日間、鹿児島県に旅行に行っており、警視庁は育児放棄(ネグレクト)だったとみている。
発表によると、梯容疑者は6月上旬、自宅マンション室内に長女の稀華(のあ)ちゃん(3)を1人で残したまま外出し、稀華ちゃんを極度の脱水と飢餓状態に陥らせて死亡させた疑い。調べに対し、「間違いありません」と容疑を認めている。
捜査関係者によると、梯容疑者は6月5日に稀華ちゃんを残して1人で外出。13日までの8日間、知人男性と一緒に鹿児島県で過ごしていた。
13日午後に帰宅後、「子どもが息をしていない」と自ら119番。救急隊が駆けつけた際、室内は空のペットボトルなどのゴミが散乱し、稀華ちゃんはおむつをはいた状態でマットレスの上に横たわっていた。稀華ちゃんは搬送先の病院で死亡が確認された。
司法解剖の結果、稀華ちゃんは死後数日が経過していた。体にあざなどの目立った外傷はなかったが、極度の脱水状態で、胃の中は空っぽだった。体重も3歳児としては軽く、普段から食事を十分に与えられていなかった可能性もある。
梯容疑者は当初、警視庁の任意の聴取に対し、稀華ちゃんが数日前から食事をしなくなり、13日昼頃に確認すると体が冷たくなっていたと虚偽の説明をしていた。その後、梯容疑者は体調を崩して都内の病院に入院。今月7日に退院したところを逮捕した。
梯容疑者は宮崎県出身で、離婚後の2017年7月から現場マンションで稀華ちゃんと2人で生活。稀華ちゃんは一時保育園に通っていたが、昨年通園をやめていた。警察や自治体、児童相談所に虐待に関する情報は寄せられていなかったという。
梯容疑者は以前にも稀華ちゃんを残して数日間、自宅を留守にしたことがあったといい、警視庁がネグレクトの実態を調べている。
警察庁によると、全国の警察が昨年、虐待の疑いで児童相談所に通告した子どもは計9万8222人で、このうち8958人がネグレクトだった。