https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/20200615-00183433/
■ スキャンダル法相と、「『法務大臣ブランド』の信用失墜」大臣
いま、河井前法相のスキャンダルで政界が揺れているそうだが、この方が法相に就任した昨年後半、法務省は「共同親権・研究会」を成立させていよいよ法制化へ動き出すとみられていた(「共同親権」導入の是非検討 法務省、研究会立ち上げ)。
それがスキャンダルというよりは、「新型コロナ禍」にともなう「面会交流/ペアレンティングタイム」の中断により(<新型コロナ>別居中の親が子どもに会えない 家裁の審理止まり、面会交流できず)、共同親権化への大きな要素であるペアレンティングタイム/面会交流が日本中の別居親と子どもたちの間で中断されている。
その流れに乗ることを狙ったのかはわからないが、離婚後の2大課題である「面会交流」と「養育費」のうち、養育費支払いの動きが目立つようになっている。
それはスキャンダル法相が交代し、現在の、なんと言ったらいいのだろう、「『法務大臣ブランド』の信用失墜」大臣である森まさこ氏のもとで推し進められているようだ(養育費不払い問題について)。
大手NPOらによる巧みな「ロビィング」などもあって、その動きは「親権」問題から切り離され、ZOZOの前社長・前澤氏(前澤友作氏、 「前澤ひとり親応援基金」創設 10万円を1万人のひとり親に配布)や明石市(養育費立て替え・回収 明石市今夏から)の動きなどもあり、養育費の支払い強制だけが一人歩きしているようだ。
■ 2大事項としての「面会交流」と「養育費」
法務省の一般向けパンフレットを見ると、両親が離婚した子どもにとって必要な2大事項として「面会交流」と「養育費」が挙げられている(子どもの健やかな成長のために~離婚後の「養育費の支払」と「面会交流」の実現に向けて~)。
そこでは、長期休暇中の子どもは別居親(同居している主として母親ではない、父のほう~少数だが別居する母親も存在する)と数泊の「面会交流」の事例もありうると「記入例」として挙げられてもいる。
だが現実は、当欄でも度々取り上げてきたように、面会交流/ペアレンティングタイムの多くは月1回2時間程度、中には数年間実子に会えない別居親も多数存在する(アタッチメントが「ペアレンティング・タイム」をいざなう~離婚後の「面会交流」ではなく)。それは、典型的あり方で「月1回2時間」、なのだ。
また、養育費支払いに関しても、4人に1人しか支払っていない。その理由として、親権やペアレンティングタイムとセットではない養育費は、別居親の権利を大きく侵害する、という見方はあるだろう(僕もそう思う。また、前滋賀県知事・現参院議員の嘉田由紀子氏もこの立場だと推察される6月7日 離婚後の子どもの親権問題で養育費義務化の問題)。
つまり、嘉田氏も以下のように書く現状の単独親権を元にした離婚システムは、崩壊していると言わざるをえない。
■ 現状の離婚システムが崩壊している
長い引用になってしまったが、これまでは、「面会交流/ペアレンティングタイム」を求める人々が「共同親権派」であり、「養育費」を求める人々が「単独親権派」だどいうことで長年対立してきた。
が、冷静になって以上の動きを見てみると、
1.別居親による「面会交流」の時間は、通常月1回2時間しかない
2.「養育費」は、1/4の別居親しか支払っていない
という冷徹な事実が存在する。これは、離婚した後の別居親や同居親にとって、明らかな不満が個人レベルではなく何十万人という(毎年離婚数は20万組)集団レベルとして存在するということだ。
それは言い換えると、現状の離婚システムが崩壊しているということである。
そこを関係者が認めず、目先の養育費の支払いや面会交流の時間増大に向かっていることに現在の悲劇がある。
そろそろ、「現状の単独親権をベースにした離婚システム自体が崩壊してしまっている」という現状からスタートする時期に来ている、ということだ。