制作者が涙の懺悔…ドラマ『フレンズ』に足りなかったもの

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1994年に放送開始され2004年に最終話が放送された、大ヒットドラマ『フレンズ』。ジェニファー・アニストンをはじめとするキャストをスターダムへと押し上げた作品でもあり、未だにファンの熱が冷めることのない世界的な人気作だけれど、制作者には後悔していることがあるよう。 【写真】『フレンズ』の主要キャストがもらっていた衝撃のギャラ金額 『フレンズ』クリエイターの1人であるマルタ・カウフマンは、他4名の女性ショーランナー(テレビ番組制作における現場責任者)と共に、ATX TVによるリモートパネルディスカッションに登場。そこで彼女が涙ながらに語ったのは、同シリーズの制作当時に多様性を確保するために十分なことができていなかったという後悔--。

マルタ・カウフマン

キャリアのスタート地点に戻ることができるとしたら、若い頃の自分に何を伝えたいかと尋ねられたマルタは、涙ぐみ声を詰まらせながらこう回答。 「あの頃、今の自分と同じくらい世の中のことを知っていたら…と思います。すみません--そしたらもっと違った決断をしていたことでしょう」 「もともと我が社は、多様性あふれる会社です。でも、私が行ってきたことは十分ではありませんでした。だからこそ、今私に何ができるかを常に考えています。どう変えられる? 番組づくりに変革をもたらすにはどうするべき? そしてそれこそが、若かりし頃の自分に伝えたいことです。さらには去年までの自分にも…ね」 ディスカッションに参加していたコメディ番組『A Black Lady Sketch Show(原題)』の生みの親であるロビン・セードは、『フレンズ』が意図的に差別を推奨するよう作られていたというわけでなく、当時の社会構造の方に問題があったとマルタをフォロー。 「たった1人の人種差別主義者が事態を悪くしてきたのではなく、彼らが知らぬ間に植え付けた差別意識によってできた世の中の構造こそが悪なんです。誰もそれが間違っているとは気づかないようになっていた、そこがポイントなのです」

フレンズ』が多様性に欠けているのではないかという指摘については、これまでにも度々議論がされてきたこと。 そして先月にも、フィービーを演じたリサ・クドローが「あの時代の番組としては、非常に進歩的だった」と見解を示したばかり。 「レズビアンであることから離婚した元妻と共同親権を持ち、子どもを育てあげていたキャラクター(ロス)もいました。私(フィービー) も代理母として代理出産を経験しましたし、当時にとっては先進的な内容でした」 最近では、『トイ・ストーリー』作品からセクハラシーンが削除されるなど、エンタメ界でも過去のスタンダードが見直されていることが少なくない。『フレンズ』にまつわる議論も、時代を超えて長く愛されてきた作品だからこそ。 マータ・カウフマンは、ストリーミングサービスの「HBO Max」で放送される予定の『フレンズ』最新版でも、プロデューサーとして関わる予定。現代に合った新生『フレンズ』に期待したい。

4年前