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新型コロナウイルスの感染拡大が、離婚などで離れて暮らす親子の「面会交流」にも影を落としている。当事者団体の調査では3月以降、面会できなくなったり、回数が減ったりする例が増え、関係断絶を心配する声が上がる。(阿部峻介、新屋絵理)
当事者団体「共同親権草の根活動」が4月14~20日にネットでアンケートを実施。離婚や別居で子と離れて暮らす男女107人が回答した。大半は月1回以上面会していたが、感染が拡大した3月以降「全く会えなくなった」人が47人(44%)、「頻度・時間が減った」人が34人(32%)いた。
理由は「同居している親が面会に否定的」が最多の58%。「面会交流が外出自粛要請の対象かあいまい」が19%、「自分の判断」が18%と続いた。大半はテレビ電話などの代替手段が実現しておらず、外出自粛が延びた場合の親子関係について91人(85%)が「断絶を懸念する」と答えた。
団体側は「一度切れた人間関係を再び築くのは実の親子でも簡単ではない」と指摘。親子の交流を外出自粛の対象外にしている欧州の国々の事例をあげ、「日本の政府や自治体も面会交流の指針をはっきり示してほしい」と訴えている。
政府の緊急事態宣言を受け、各地の家裁が裁判手続きを中止した影響も出ている。別の団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」が4月20~23日に実施したアンケートによると、家裁に調停などを申し立てた94人の約7割が期日を取り消されたという。
同団体は先月末、「親子関係の維持、子育ての観点から『不要不急』と呼ぶ余地はない」として、最高裁に再開を求める要望書を出した。
久しぶりの電話に泣けてきて…5分しか
「このまま親子関係が壊れちゃうんじゃないかと、怖くて……」。東京都内に1人で住む50代の会社員男性は、声を震わせた。
2年前から妻子と別居する。親子関係に問題はなく、家裁での合意に基づき小6の娘と小2の息子と月に2回以上、会ってきた。80歳になる母親も交えて食卓を囲み、運動会にも授業参観にも行く。単なる面会ではなく、愛情を伝えるための「子育ての時間」ととらえていた。
それが、2月7日を最後に会え…