https://news.yahoo.co.jp/byline/tanakatoshihide/20200429-00175822/
■20万人の子どもの落胆
現代の日本は世界でも珍しい「単独親権」制度をとるため、両親が離婚したあと子どもはどちらかの親(多くは母)と同居し、別居するもうひとりの親とは会えて月1回のペースになる。
月1回会えればいいほうで、なかには何年も会えない別居親もいる。
また、昨今の新型コロナ禍のために同居親が慎重になったりすることから月1回の子どもとの「面会交流」(この表現には問題があると当欄で指摘したアタッチメントが「ペアレンティング・タイム」をいざなう~離婚後の「面会交流」ではなく)が滞っている別居親もたくさんいる。
それら別居親の嘆きは、ツイッターの話題検索で「面会交流」「共同親権」等で検索していただければ簡単に読むことができる(面会交流 共同親権)。
多くの別居親が月1回の子どもとの交流に期待し、喜び、落胆し、涙している。
毎年20万組の夫婦が離婚するから、 すべての夫婦に子どもはいないにしろ子どもがいる夫婦は2人以上も珍しくないため20万人程度の子どもがそうした環境(別居親との実質的別離)に追いやられている。
■虚偽DV申告アドバイス
そうした単独親権離婚を「勝ち取る」ため、「虚偽DV」が弁護士によってアドバイスされていることも当欄では触れた。そしてそれを裁判所が追認し、そうしたプロセスに疑問を抱く別居親によって訴訟が起こっていることにも。
たとえば今月号の『月刊Hanada』には、弁護士による虚偽DV申告のアドバイス的な事例も紹介されている。同記事では、DVを訴えるために必要な項目として以下のようなものがあるので注意するように、と離婚を考える一方の親たちに弁護士たちはアドバイスしているそうだ。
こうした「捏造」の実態は、あからさまなDVとは別に、記事にもあるような「夫婦喧嘩の過程でのどなり合い」といったシーンも多く含まれる。
夫婦喧嘩がエキサイトすると、どなり合ったり、モノを投げたり、モノや手や足で暴力に及ぶこともある。人間が遭遇する暴力の中では、意外と家族間の「喧嘩」が多く、夫婦のほかには、母子(ひきこもりや発達障害でよく見られる)、父子、兄弟などが普通に見られる。
そうした摩擦の一場面を、「法的視線」で切り取れば、それが双方向のアクションであったとしても(一方通行のアクションだと容易にDVや暴力に位置づけることができる)、たとえば上の「三点セット」や「痣の写真」などがあれば、それは即DVや虐待になる。
■「離婚複合体」が生むサバルタンとしての子ども
こうした「DV創作」も含めた、それら一連のプロセスやシステム(「単独親権離婚システム」)を思想として後押ししてきたのが「昭和フェミニズム」であると、当欄では2回言及した(虚偽DVは、「昭和フェミニズム」から生まれた 「少女フェミニズム」が単独親権を続ける)。
単独親権離婚システム、あるいはシンプルに現代の離婚システムには、このように、思想(昭和フェミニズム)、既存概念を追認する裁判所、そうした法曹界のエートスに便乗して「離婚ビジネス」を展開する弁護士、その周辺に群がる学者やNPOといったいくつかの層で構成されている。
「支える思想-追認する裁判所-ビジネスとして請け負う弁護士-周辺に群がる学者とNPO」、あの軍産複合体ではないが、「離婚複合体」のようなものが束になって日本の離婚事象を覆っている。
ここでいつも後回しにされるのが子どもで、日本は本当に当事者(この場合子ども)の人権は後回しにされる。これをポストコロニアル哲学の用語で表現すると、「サバルタン(最大の当事者)である子どもは語ることができない」という表現になる。
日本の場合、戦争でもあからさまな差別でもなく、「単独親権離婚システム」の形成によって、最大の当事者/サバルタンである子どもが語ることができない。できないどころか、子どもたちの声は「洗脳」され歪められる(「ぼくは、父(母)親に絶対会いたくありません」~「連れ去り洗脳」という児童虐待)。
日本ではやはりいつも子どもが犠牲になるが、「離婚ビジネス」で儲ける弁護士と黙認する裁判所、それらを背後で支える「昭和フェミニズム」というシステムがあることを意識しておきたい。