「共同親権」は子ども視点で見ると大問題だ

とにかく別居親は子どもにとって有害だから婚姻外単独親権がよい、という議論です。婚姻中に親が子どものことで意思一致することも多くないと思いますが、とにかく別居親が意見を言うのが問題というダブルスタンダードの、木村草太と同じ理屈です。

婚姻制度と親権制度の関係がちっともわかってない方のようなので、ぼくが質問に反論してもきちんと答えられていません。彼が削った回答はこちらで公開しています。
https://k-kokubai.jp/2020/04/03/toyokeizai/

子どもの意見表明権が、子どもの意見をそのまま反映させるということではなく、子どもの欲求表明を大人が受け止める義務だということが、ちっともわかっていませんが、「単独親権議論あるある」です。

まあ進める会の主張を統計で裏付けてくれてますけど。

 

4/3(金) 6:01配信

東洋経済オンライン

 現在の民法は、離婚後は父母のどちらかを親権者とする「単独親権」を採用している。しかし、親権を失った親が養育に関わりにくくなり、子どもとの交流を絶たれることなどを根拠に、離婚後の共同親権の立法化を訴える声がここ数年、政界でも国民の間でも盛んになりつつある。

2014年3月、超党派の「親子断絶防止議員連盟」が設立され、2018年2月に「共同養育支援議員連盟」に改称。こうした動きを受け、法務省は2019年9月、共同親権導入の是非などを議論する研究会を立ち上げた。

 一方で、離婚後の単独親権は、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するとして、40代男性が子どもの共同親権を求めた訴訟の上告審で、最高裁は2019年2月28日、男性の上告を棄却する決定を出した。

また、今年2月、ひとり親世帯らの支援を行う「シングルマザーサポート団体全国協議会」が共同親権の法制化に慎重な議論を求める1万708人分の署名と要望書を森雅子・法相に提出するなど、反対の声も上がっている。

■増え続ける虐待、反映されない子どもの声

 もっとも、こうした親権をめぐる単独・共同の議論では、離婚によって生育環境の変化に対応しなければならない当事者である子どもの言い分は、有権者ではないために改正案に反映されない。

それどころか、この議論は、マスコミ報道でも、民間のイベントでも、子ども視点で語られることが乏しい。ほとんどは親の立場からの議論であり、まるで「子どもは黙っておけ」と言われているような状況だ。

このまま議論を進めていっていいのだろうか?

 親権とは、未成年者の子どもを監護(子どもと一緒に生活をして日常の世話や教育を行うこと)・養育し、その財産を管理し、その子どもの代理人として法律行為を行う義務であり、権利である。

これを子どもの立場から読み直すなら、どんなに恐ろしい親権者であっても監護・養育され、自分が少しずつ貯めた貯金や趣味のグッズなどの財産を管理され、自分の代理人として法律行為を親権者に勝手に進められてしまうリスクすらある。

実際、全国の児童相談所に寄せられる虐待相談は1度も減ることなく30年間も増え続け、2018年度の対応件数は15万9850件(厚労省発表)に達し、過去最多を更新した。子どもを虐待する親権者の問題は、日々深刻化している。

では、親権を濫用されることで苦しめられる子どもには、抵抗のすべはないのか。

裁判所は、子どもの監護者の指定その他の子どもの監護に関する処分についての裁判または前項の親権者の指定についての裁判をするに当たっては、子どもが15歳以上であるときは、その子どもの陳述を聴かなければならないとしている(人事訴訟法32条4項)。

また、判例上は、10歳以上なら意思を表明する能力があるとして子どもの意思が尊重され、10歳未満が意思を表明するならその真意がより慎重に判断されると見る向きもある。

 それだけでなく、日本は、1994年4月に児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)に批准した。この条約では、締約国に以下のルールを課している。

●自己の意見を考えて言える子どもが、自分に影響を及ぼすすべてのことについて自由に自分の意見を表明する権利を確保する
●子どもは、自分に影響を及ぼすあらゆる司法上および行政上の手続きでは、国内法の手続き規則に合う方法によって、直接に、または代理人(もしくは適当な団体)を通じて聴取される機会を与えられる

 日本では、この条約に基づいて国内法が万全に整備されているとはいえない。

■教えられていない子どもの権利

現時点で、子どもにとってほとんど唯一法的に保証されている権利は、子ども本人でも家庭裁判所に親権の制限(親権停止や親権喪失、管理権喪失)を請求できるというものだ。

ところが、この権利すら、子どもは学校でも児童相談所でも、必ずしも教えられてはいない。共同親権を進めたいなら、親権制限を請求できる権利が子ども本人にもあると教えることを親権者に義務づけてもいいはずだ。

 現行法のままなら、離婚後の親権者は父母どちらか1人になるため、子どもにとっては自分を虐待する恐れのある存在が減ることになる。

親権者を2人のままにする共同親権が広く受け入れられるとしたら、そうした子どもの立場を救済できる仕組みを法案に盛り込むことが不可欠だろう。子どもが本気で大事なら、親の権利を守るのと同じ程度に子ども側のニーズをふまえて制度設計をするべきだ。

そこで、離婚後の共同親権を推進する日本維新の会、その中心的な活動をしている串田誠一・衆議院議員、ならびに民間団体「共同親権運動・国家賠償請求訴訟を進める会」の宗像充さんに、3月13日にメールで質問状を送り、1週間以内の回答を求めた。

すると、宗像さんからだけ、以下の回答があった。

――親から虐待されてきた子どもには、離婚をきっかけに自分を虐待した親から離れられたら、その親に会いたくない子どももいます。そこで、「親に会いたくない」と望む子どもの権利を、離婚後に共同親権を認める場合、どのように守るのでしょうか?

宗像充(以下、宗像):子どもの安全は親同士の関係とは別個に守られるべきもの。それは婚姻しているいないを問わず。虐待の加害者が離婚すれば被害者から離れてくれるわけでもありません。単独親権では、親権者は子どもを確保した側に与えられます。DVや虐待の加害者も単独親権者になっています。

 虐待の加害者の割合で一番高いのは実母で、親権者の8割が女性。現在の制度で子どもの安全が守られていないとするなら、親権制度の問題ではなく、虐待の抑止策が有効ではないから。それは婚姻内外問わない共同親権でも手を打てること。

親権の有無と虐待の発生に因果関係はありませんが、あるとしたら単独親権で同居親が孤立し、それが子どもに虐待行為をするきっかけになりうる場合。虐待の発生では、実父母の監督がある場合、割合が一番低い。婚姻外でも共同親権が原則化し、双方の親との関係が維持されることで、ひとり親家庭の虐待の抑止もなされる。

■離婚後の共同親権、子どもが苦しまないためには?

――離婚後まで共同親権になる場合、子どもは離婚前と同様に両親の争いを見る機会が温存されます。今日では、子どもが両親の争いに立ち会えば、それ自体が心理的虐待とみなされ、一時保護の対象となります。離婚後まで心理的虐待を子どもに与えるリスクがないようにするために、どのような法的配慮が必要だと考えていますか?

宗像:子どもの家は2つになります。双方の家を行き交うので、両親の争いに立ち会う場面は婚姻中より減ります。そのため、共同親権に移行した国では、養育時間の配分や話し合いの方法を定めた詳細な養育計画を立てることが別居・離婚時に義務化されています。

――現行法では、子どもは親権者の良心にのみ期待するしかなく、子どもは自分の進路すら親と交渉して勝ち取らなければならないものになっています。

交渉相手が離婚後も2人のままだと、子どもは交渉に2倍の労力がかかり続け、両親の意見が異なれば、その争いに巻き込まれます。子どもが苦しまないようにするために、離婚後の共同親権を成立させる際、どんな付帯条項をつけるつもりですか?

宗像:それは婚姻中の共同親権においても同じことですので、もしこういった付帯条項の必要性があるというなら、戦前のように婚姻中も単独親権にするのが一番いい。

 子どもの福祉の観点と男女平等の観点から、戦前の単独親権制度は戦後は婚姻中においてのみ共同親権になっています。共同親権が子どものためにいいからです。

以上の回答を公式統計などから検証してみよう。

厚労省が発表している「児童虐待相談における主な虐待者別構成割合の年次推移」を見ると、近年は父親が虐待する相談の割合が増えている。

2014年度では主な虐待者のうち52.4%が実母だったが、2018年度では47.0%に減っている。一方、同じ期間では実父が34.5%→41.0%と増加傾向にあり、数年も経てば、実父の割合が実母の割合を超えるかもしれない。

 もちろん、単独親権にも虐待事案はあるため、「子どもファースト」で親権制度を見直すなら、共同親権ならではのメリットとして子ども自身のニーズを確認する必要がある。そのためには、すべての子どもが親権のメリットとデメリットを理解できるよう、丁寧に説明できる機会を創出することが避けて通れないだろう。

そのうえで、両親の離婚を経験した当事者や、虐待されて保護された未成年、大人になった虐待サバイバーなどに広く意見を聞く機会や全国調査を試みるのは、子どもの権利(意見表明権)を守るなら最低限必要な手続きであるはずだ。

 現行の民法をふまえれば、親権者の義務は子どもの身の回りの世話や教育、しつけだけでなく、子どもの居場所の指定、子どもの職業の許可・制限、子どもの財産の管理、子どもの法律行為への同意など、多岐にわたる。

これを子ども視点で読み直せば、子どもは居住先も、進学先も、旅行先も、入院先も、就職先も、口座開設先も、すべて親権者の許可なしにはできないということだ。

■両親が親権を持つと…

離婚後も両親に親権があるようになれば、2人の許可を得なければ物事が進まず、離婚した両親が子どもの養育だけ意見が完全に合致することは望みにくい。離婚自体が子どもに生活状況や姓の変化で心の安定に影響を与えるのは、自明のことだ。

両親が離婚し、夫婦関係を解消すること自体が子どもにとっては悩ましいことであり、離婚後まで親権者が2人のままになれば、養育・教育の方針すら一本化されなくなり、将来設計の不安も高じてしまう。

そして、最悪の場合、親権者2人に虐待されることがあれば、児相に保護されても2人の親権者からそれぞれ別個に家に帰るように説得されかねず、悩みは尽きない。

児童相談所長(または都道府県)が子どもを保護する際、その子の親権者が反対しても、児相側の訴えが家庭裁判所に認められれば保護できる。この子どもの身柄に関する児相VS親権者の争いを、「児童福祉法28条1項事件」という。

 児相側が家裁に訴えを認められたケースの理由の内訳を見ると、2018年ではその9割以上が虐待だった(厚労省発表)。子ども虐待が親権の濫用によって生じることを、日本の司法は認めているのだ。

「子どもファースト」ではない共同親権が、このまま広く一般に受け入れられていいものだろうか?

今 一生 :フリーライター・編集者

4か月前