覚醒剤取締法違反で逮捕され、有罪判決を受けた元プロ野球選手の清原和博さん(52)が、薬物依存症の治療の様子や現在の暮らしぶりを朝日新聞へのインタビューで明らかにした。昨年末に野球のイベントでユニホーム姿を披露して回復ぶりを印象づけたが、実際は道半ばで、薬物依存症の後遺症に悩まされ、うつ状態が続いているという。
昨年12月、清原さんが精神的なよすがにしている、示現寺(神奈川県藤沢市)の住職鈴木泰堂さん(44)との対談本『魂問答』(光文社)を出版したのを機に、近況を語った。
清原さんは昨年11月から12月にかけて、監督を務めた「トライアウト」などの野球イベントでほぼ4年ぶりにユニホーム姿で人前に登場。笑顔を見せ、薬物依存症やその後遺症のうつからの回復を印象づけた。
しかし、イベント終了後1週間は、落ち込んで何もできなかったという。「いまもまだ、人前に出るのが怖いんです」と話す。
「トライアウト」の記者会見では、カメラのフラッシュを浴び、「全身から汗が出て頭の中が真っ白になり、何を話していいのかわからなくなりました」と話した。覚醒剤取締法違反で逮捕されて送検される際に車の中で浴びたフラッシュの記憶がよみがえったという。
また、薬物事件を起こしたことで世間の厳しい目にさらされることもあったという。引っ越し先を探そうとして、100軒以上断られた経験なども披露した。
そんな中、回復の大きな支えになっているのが2人の息子との再会だという。野球をしている次男とは定期的に会い、バッティングを指導している。「息子たちに再会していなかったら、いまも絶望の中で、死にたいという思いが強かったのではないでしょうか」
今年6月、4年間の執行猶予の期間が終わる。清原さんは「それまでは社会復帰の準備期間というつもりで、精神科の先生のアドバイスに従い、焦らずゆっくり少しずつ活動を増やしていきたい」と話す。(大岩ゆり)
朝日新聞社