https://news.yahoo.co.jp/byline/akechikaito/20200114-00157582/
厚生労働省では男性の子育てや、育児休業取得の促進等を目的とした「イクメンプロジェクト」を、2010年6月17日より始動しています。
「イクメンプロジェクト」とは、働く男性が、育児をより積極的にすることや、育児休業を取得することができるよう、社会の気運を高めることを目的としたプロジェクトです。
育児をすることが、自分自身だけでなく、家族、会社、社会に対しても良い影響を与えるというメッセージを発信しつつ、「イクメンとは、子育てを楽しみ、自分自身も成長する男のこと」をコンセプトに、社会にその意義を訴えてきました。
「イクメンプロジェクト」の詳細な説明については、ぜひ下記よりご覧ください。
「パタハラ」とは?
最近では「男性の育児」を推進するために「男性も育児休業を取得すべき」という要望が高まってきています。しかし、現実には男性育休取得率が低く男性は育休を取りづらい状況にあるため「義務化する必要があるのでは?」という議論も活発になってきています。
すでに各会社が自主的に男性の育休取得への取り組みを進めていますが、男性の育休取得の障害となっている「パタハラ」への罰則を設けるべきではないかなどについても積極的な議論が交わされています。
「パタハラ」とは、パタニティー・ハラスメントの略です。パタニティー(Paternity)は英語で“父性”を意味し、男性が育児を通じて自らの父性を発揮する権利や機会を、職場の上司や同僚などが侵害する言動におよぶことを、パタニティー・ハラスメントと呼びます。
妻に子どもが連れ去られたら父親として認めない日本社会の矛盾
しかし、このイクメンや男性育休に関しては疑問の声が上がっています。
雷鳥風月さん(仮名・40代)は、2019年1月に事前に何の協議もなく5歳の息子を連れ去られた父親の一人です。
子どもの連れ去りについては過去の記事をご覧ください。
隠れた課題、断絶された親子たちについて考える。(明智カイト)
日本では離婚すると単独親権のため片方の親が親権者となりますが、雷鳥風月さんの場合はまだ離婚が成立していないため、正確にはまだ親権者です。しかし、日本では「子どもを連れ去った側の親」の言いなりにならなければならない現実があります。
雷鳥風月さんはDVや虐待などしていませんし、また不倫などもしていません。真面目に働き、家事や育児にも積極的に協力してきました。自分に非がないにもかかわらず我が子と会えないこの状況は彼にとっては受け入れがたいものでした。
たとえば、子どもの誕生日です。雷鳥風月さんは妻に対して子どもの誕生日プレゼントを贈りたいと調停で伝えました。
妻からの条件は以下の通りでした。
・プレゼントは図鑑にして欲しい
・妻の実家に送る事
そのため、図鑑を二冊購入しメッセージカードに三行程度のメッセージを書いてプレゼントしました。しかし、面会交流で子どもに会った時に聞いたら図鑑は渡されていたが、手紙は渡されていなかったといいます。
妻の弁護士になぜ手紙を渡してくれなかったのかをメールで問い合わせても回答がありません。調停で再度なぜメッセージカードを渡してくれなかったのかを聞いてみたら「文章が長いから」でした。
そもそも、なぜ我が子の誕生日を一緒に祝わせてもらえないのでしょうか。まだ離婚もしていないし、親権者で実の親なのにです。さらにはクリスマスや正月さえも我が子と一緒に過ごせないし、祖父母も孫の顔を見ることができないのです。
離婚調停中や離婚後は育児に関われないのか?
雷鳥風月さんのように離婚の調停中で子どもと一緒に暮らせていない、ほとんど子どもと会えていない別居親や、もしくはすでに離婚していて子どもと全く会えていない別居親は育児に関われないのでしょうか。なぜ夫婦間のトラブルで、親子関係まで巻き込まれなくてはいけないのでしょうか。そして、子どもが両親から養育を受ける権利を損なわないことも大切なことです。
今現在、雷鳥風月さんは事前の話し合いもなく子どもを連れ去られた影響で精神的にはボロボロの状態になりながらも、子どもが自由に親と会えるように法や制度を変えていくため離婚後共同親権の実現に取り組んでいます。
しかし、「男性の育児」というなら、まずはイクメンや男性育休を推進している人々こそが離婚後共同親権の実現に向け率先して声を上げていくべきだと思います。