養育費、月1~2万円増 最高裁が算定表見直し

離婚訴訟などで子の養育費を計算する目安として使われる「養育費算定表」について、最高裁司法研修所は22日までに改定版をまとめた。2003年の公表以来初の見直し。携帯電話を使う子どもの増加といった社会情勢の変化を反映させた。個々のケースで異なるが、親の年収によっては月1万~2万円程度増えるなど全体的に増額傾向となった。

新しい算定表は23日以降、離婚調停などで目安になる。過去に取り決めた養育費に自動的に遡及適用することはない。最高裁は同日午前にも新しい算定表を裁判所のウェブサイト上で公表する。

算定表は離婚するなどして子どもと離れて暮らす親が毎月支払う養育費の目安を定めたもの。夫婦の収入や子どもの人数、年齢に応じて詳細に決められており、条件に当てはめることで「2万~4万円」「4万~6万円」などと算出できる。

法的拘束力はないものの、素早い紛争解決につながるとして離婚調停などの実務で定着している。ただ、弁護士などから「現在の生活実態に合っていない」との指摘もあり、司法研修所が算定方法の見直しを進めていた。

養育費は親の収入を基に税金や保険料、仕事にかかる経費の「職業費」、住居費などを差し引いた上で算出する。今回の改定では算出の基になる統計データを更新するとともに、計算方法を一部変更した。

税金と保険料については18年7月時点の料率を適用した。職業費のうち「通信費」は従来、仕事をしている親だけが通信機器を使っているとの前提で世帯の全額を計上していたが、親の使用分だけを切り分けて計上することにした。未成年者にも携帯電話が普及したことを反映させた形だ。

こうした見直しの結果、多くのケースでは養育費が増額となる。改定後の算定表によると、例えば養育費を払う親の年収が450万円、15歳未満の子1人と同居する親の年収が150万円の家庭だと、養育費は「4万~6万円」となり、現行の「2万~4万円」から増える。

養育費を払う親の年収が800万円、15歳未満の子2人と同居する親の年収が300万円の場合は、現行の「8万~10万円」が「10万~12万円」に増える。条件によっては従来と変わらない世帯もある。

5年前