「民法の単独親権制度は違憲」子どもと別居中の父母12人が国家賠償求め提訴

 離婚後に父母の一方にのみ親権を認める民法の単独親権制度は、法の下の平等を定めた憲法に反するなどとして、8都道府県に住む12人が22日、計1200万円の国家賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。単独親権の違憲性を巡る集団訴訟は初とみられる。

訴えたのは、子どもと別居中の40~60代の父母。訴状によると、原告側は、結婚している父母には原則として共同親権が与えられているのに、離婚などによって一方の親は親権を奪われていると主張。子を養育したいという意思を持っているのに養育に関われないのは「親権差別」だとしている。

国は「訴状を受け取っていないのでコメントできない」としている。

単独親権については、離婚が争われた別の訴訟で東京高裁が2018年9月、「親権は、子の福祉が考慮されるべきであるから、単純に共同親権ではないという理由で憲法に反するとは言えない」と判断し、確定している。【巽賢司】

◇親権

親が未成年の子どもに対して持つ権利と義務の総称。身の回りの世話や教育をする監護権のほか、住む場所の決定や職業選択を許可する権利などがある。日本ではかつて父親が親権者とされていたが、戦後の民法改正で婚姻中の父母に共同親権が認められた。離婚後は父母の片方のみに認められ、協議で合意できなかった場合は調停や裁判で決まる。

5年前