県と2市、争う姿勢 小4殺害事件損害賠償訴訟

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秋田地裁(資料写真)

2016年6月、小学4年生だった女児=当時(9)=が秋田市の児童養護施設から一時帰宅中に母(43)に殺されたのは行政の対応に落ち度があったためだとして、父親(46)=仙北市=が県と秋田市、以前母子が住んでいた大仙市に約8千万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が2日、秋田地裁(綱島公彦裁判長)であった。県と両市はいずれも争う姿勢を示し、請求棄却を求めた。

訴状などによると、児童相談所と児童養護施設の設置者の県と両市には、母が精神疾患を抱える中で漫然と一時帰宅を許可したことや、女児の安全確保を怠ったことは注意義務違反に当たると主張。女児が殺害される要因をつくったと指摘した。

公判後に県庁で会見した父親は「なぜ非を認めないのか。子どもの命を預かる行政機関はもっと責任を持って職務に当たってほしい」と訴えた。

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子どもとの面会交流、法整備促す

 原告側が提訴に踏み切った背景の一つには、離婚によって別居した親と子の面会交流が、子と同居する親の意向で容易に阻害されてしまう現状への問題意識がある。原告側は訴訟を通じ、面会交流を適切に実現するための法整備を促したい考えだ。

父親と亡くなった女児との面会交流は、離婚調停で認められていたが、母親の意向で行われなかった。交流が断たれた父親は、母親による女児の養育状況を知るすべがなかった。

面会交流が行われない場合、申し立てに基づいて裁判所が履行を勧告できるが、同居親が応じなくても罰則はない。原告側は、面会交流が適切に行われなかったことが女児の命を救えなかった要因の一つと指摘している。

弁護団の渡邉祥子弁護士と野坂真理子弁護士=ともに東京=は、面会交流を実現する法整備が不十分なのは国の立法不作為だとして、国に対し損害賠償を求めた東京地裁での訴訟に関わっている。

県庁で行われた弁護団の会見に出席した渡邉弁護士は「本来、当たり前に行われるべき面会交流が片方の親の意向で容易に断たれるのはおかしい。子と会えず苦しむ親は多く、面会交流を実現する具体的法律がないのは国会の怠慢だ」と断じた。

野坂弁護士も「面会交流は本来、子のためのもの。父母双方から愛されて育つことが健全な成長に資する」とし、適切な面会交流の実現を求めた。

父親は、自身も面会交流できず苦しんだとし「離婚しても、子といつでも会える制度にしていかなければならない」と述べた。

2か月前