2月6日発売の週刊新潮に宗像充の男性差別についての記事が掲載されています。
https://www.fujisan.co.jp/product/1138/new/
雑誌に書ききれなかった男性に対する驚愕の差別の実態をレポートします。
「女は被害者/男は悪者」は本当?
「生活費16万でやっていけるわけない、ご飯も作れない」と高木彰さん(仮名、45歳)が、深夜に妻の彩子さん(仮名、41歳)に頭を叩かれたのは3年前のこと。金融の仕事に携わる彰さんに対して彩子さんは結婚を機に専業主婦となり、一人娘の優ちゃん(仮名)をもうけた。先の16万円は彩子さんへのお小遣いと一家の食費、彰さんはそれ以外の生活費を負担していたが、月の半ばには彩子さんが16万を使い果たし、家計は赤字に陥った。
女性が弱者で被害者、悪いのは男という固定観念は根強い。しかし高木さん夫婦の場合、「私の母親がオムツ代わりに使っていたナプキンを見て、『不貞の証拠』と言い放」ち攻撃を始めたのは彩子さんだ。逆上した彩子さんは、優ちゃんと1か月実家に滞在していたが、「優がパパとお風呂に入りたがっている」と突然帰宅。優ちゃんの面前で「不貞男」と罵った。
それ以外にも書斎のドアを蹴破り壊れた部分をハサミで突き刺す、首をネクタイで絞める、鍵穴を壊し書斎に入れなくする、彰さんの寝床にされたリビングのソファーに、「不貞男」と書き包丁で滅多刺しにする……娘がいてもお構いなしの暴力に彰さんは何度も警察を呼んだ。「すぐに逃げて下さい。このままだとたいへんなことになります」と警告する警官に彰さんは「娘を置いてはいけない。どんなに暴れても手を出しません」と踏みとどまった。彰さんは保健所、DVセンター、児童相談所と公的機関にはすべて相談した。しかし具体的なアドバイスは何もなかった。
そんな状態が1か月続いたころ、児童相談所から当時5歳の優ちゃんを保護したと連絡を受けた。「妻が性的虐待で通報していました。性器をスタートにして指で娘の身体をたどるゲームを私がしたというのです」。
彰さんに身に覚えがない上に、優ちゃんは「ママともやった」と児童相談所で述べていた。しかし「家庭裁判所は妻のDVは問わず、『性的虐待を女性である母親が行なうとは想定しがたい』と娘を妻に委ねました。性被害への過剰対応が悪用されたとしか考えられません」と彰さんは嘆息する。「男性シェルターがあれば逃げることができた」。娘との関係を断たれた彰さんは振り返る。
「女性にはある具体的な援助が男性にはない」
そう解説するのは、日本家族再生センター(京都)代表の味沢道明さん。1軒屋のセンターは男性も入れるシェルターを兼ね、記者が訪問したときには、妻からの暴力から逃れた大柄な男性が滞在していた。外出も自由だ。
「言葉の暴力は圧倒的に女性が加害者です。もともと力のない女性は対人スキルは男より高い。男は女に言葉で負ければ自我をパワーコントロールで安心させようとする。その結果暴力に至る」
味沢さんはDV発生のメカニズムを解説する。
脱暴力のグループワークでは男女が同じフロアでいっしょに問題解決を図る場合がある。「しかし女性の被害者保護のため、国はこれを禁じています」。男性を保護の対象から排除した場合にのみ、行政から助成金を得られるのだ。
男性が被害を訴えると・・・
では実際に男性が被害者として訴え出たらどうなるか。中村勇作さん(45歳、仮名・自営業)は、昨年の4月に妻の恵子さん(42歳、仮名)を静岡地方検察庁に告発した。その5カ月前、勇作さんは恵子さんに包丁で右腕を刺され、殴られて歯が折れ、顎の関節がずれてマウスピースの使用を強いられた。告訴が遅れたのは警察に被害を訴えても無視されたからだ。
恵子さんに刺された当日、勇作さんは意識を失い、その間恵子さんは2歳になる浩平ちゃん(仮名)を抱えて警察署に駆け込み、そのままシェルターに「保護」されている。殺されてもおかしくなかった勇作さんが意識を取り戻して警察に行くと、逆に加害者として扱われた。
「家裁の調停では、妻は私が息子を抱きかかえながら自分自身を刺したと主張していました。以前も私はレンガ片で殴られ骨折させられていて、妻が息子を見ている間に息子の顎に切り傷ができていたこともあります。その日も息子の怪我を妻に問いただし、豹変した妻の様子に、私が息子を守るため抱え上げたときに刺された」(勇作さん)。
刺された場面には目撃者もいたが、結局起訴はされなかった。その後、子どもと会う約束をして離婚は成立したが、勇作さんは浩平ちゃんと会えなくなっている。
上司に勧められてはじめて相談
「部下に怪我が絶えず早退をくり返し、様子がおかしいのに気づいた上司が促して相談が持ち込まれる」と語るのは「男の離婚相談」を掲げる五領田有信弁護士。「男性が過去1回女性に手を出した。そうすると妻に『会社に言う』『被害届を出す』と脅される。反抗できなくなり殴る蹴るの暴行を受ける。
「子どもがいなくて夫を殴っているケースはない。『やるべくしてやった』『家族を守るためだった』と警察や裁判所でも女性側は悪びれた様子は一切ない」(五領田さん)。
子どもは女性の最大の武器のようだ。
裁判所でも男性は悪者だ。「女性が被害を訴えた場合、『暴力があった』というだけで証拠はいらない。ところが男性の場合は録音がないと、怪我の写真だけでは信じてもらえない」という。実際親権の取得率は女性が8割を超え、引き離された父親が子どもと会える保障はない。
レシートを求めると経済的DV
上原哲也さん(40歳、仮名)も結婚3年目、専業主婦の妻の景さん(35歳、仮名)が1歳の息子を「誘拐」し、例によって離婚調停になった。景さんはDVを主張したが証拠はない。しかし裁判官は「DVがないことの証拠にならない」と哲也さんから息子を引き離した。「私が家計簿をつけていたので、妻に生活費が足りないと言われて『レシートを出して』と求めました。それを妻は経済的DVと主張しました」。
あまりの理不尽さに哲也さんはショックで失職。景さんがパートで働いていたため、今度は哲也さんが婚姻費用を請求した。裁判官は「男が請求するなんて聞いたことがない」と一蹴した。もちろん子どもとは引き離されている。
(2019年2月7日 宗像 充)