親不在でも子ども引き渡し=ハーグ条約の履行円滑化―法制審答申

 法制審議会(法相の諮問機関)は4日、国際的な親権争いの解決手続きを定めたハーグ条約の履行を円滑にするため、子の引き渡しの強制執行を容易にすることを柱としたハーグ条約実施法など関連法改正案要綱を山下貴司法相に答申した。

海外での結婚が破綻し、親の一方が子を日本に連れてきた場合、その親が子と一緒にいなくても引き離し、元の居住国に戻せるようにする。

日本は欧米諸国の圧力を受けて2014年にハーグ条約に加盟したが、米国は子の返還がスムーズに進んでいないと不満を強めている。政府は来年の通常国会で改正案成立を目指す方針だ。

日本に連れてこられた子を条約に基づいて親から引き離す場合、これまでは連れ去った親が子と一緒にいることが強制執行の条件だった。このため、執行官が家を訪ねても親が居留守などを使い、引き離せないケースが少なくなかった。

改正案ではこの条件を撤廃。ただ、子の心情への影響を考慮し、元の居住国の親は原則的に立ち会わなければならないこととする。

国境をまたぐケースの要件緩和に合わせ、国内で離婚した夫婦間の子の引き渡しルールも同様に変更する。

6年前