刺殺動機語らず 元妻殺害から1週間 

2008年05月20日 (朝日新聞)

いわき市四倉町で派遣社員の菅野由美さん(当時33)が、
元夫の会社員菅野義美容疑者(35)に殺害された事件から19日で1週間。
2人は子どもの親権を巡ってトラブルになっていたとされるが、
菅野容疑者はなぜ、早朝に待ち伏せして車で体当たりして足止めし、
刺殺するという激しい怒りを抱えていたのか。
いわき中央署は事件の全容解明を進めているが、
菅野容疑者は肝心の動機については今も「下を向いて黙り込んでしまう」状態だという。

12日早朝、JR四ツ倉駅近くの住宅街。
調べでは、早朝から待ち伏せしていた菅野容疑者は、
自分の車を由美さんの軽乗用車に数回ぶつけて止めた。
車から降りると、自宅から持ってきた包丁で由美さんの背中や腹部を数回刺したという。

由美さんは昨年1月に菅野容疑者と離婚。
親族によると、きっかけの一つとして06年4月、
口論の末に菅野容疑者から「殺してやる」と包丁を突きつけられ、
家を飛び出したことがあったという。

由美さんは離婚に際し、2人の子どもたちと1、2カ月に一度会うことを条件として、
菅野容疑者が親権者となることに合意した。ところが面会を約束した日になると、
「子どもの具合が悪い」「用事ができた」といって拒否されたという。

親族は、由美さんから「会えると思ったのに、会えなかった」
とさみしい声で電話を受けたことがあったと語る。

16日、実家のある長野県上田市であった由美さんの告別式に
子ども2人が参列することはなかった。
親族は「事件の翌日から菅野容疑者の実家に、
子どもたちだけでも参列させてほしいと何度も連絡した。
が、取り合ってもらえなかった」と唇をかんだ。

由美さんは離婚後、いったん長野県に戻ったが、
「子どもたちに会いやすいように」と昨年3月にいわき市に移った。
親族によると、親権者を自分の側に変えるよう菅野容疑者と交渉していたという。

一方、菅野容疑者は調べに対し、
「しつこく子どもへの面会や親権を求められた」
「慰謝料なども要求されていた」
などと供述。
子どもの養育をめぐる問題でトラブルになっていたことがうかがえるが、
事件当日に菅野容疑者の両親も泊まっていた富岡町の自宅を午前5時前に抜け出し、
出勤する由美さんを待ち伏せした理由などについては多くを語っていないという。

菅野容疑者の父親は取材に対し、
「2人のことについては聞いても語らなかったし、
当日の朝も起きたらすでに出て行ってしまった後だった」
と話している。